2013.08.22 木曜日

豊橋発:逸失利益の基礎収入

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  後遺障害が残った場合、労働能力が割合的に喪失したとして、将来得られたであろう収入等の一部を、損害賠償請求できます。  この計算の基礎となる金額(基礎収入)をいくらとするかは、裁判上、争われることの多い争点です。以下、概観します。

 
1 給与所得者の場合は、原則として、事故前年の源泉徴収票上の「総支給額」が基礎収入とされます。
  もっとも、若年者(概ね30歳未満)が場合には、「全年齢平均賃金額」(「男女別・学歴計・全年齢平均賃金    額」)を採用されることもあります。例えば、事故の約8ヶ月前に高校を自主退学し、事故の約1ヶ月前からアルバイトを初めわずかな収入しかなかった被害者の逸失利益算定の基礎収入を賃金センサス、学歴別平均賃金 (中卒)と認められたり(名古屋地裁平成18年8月29日)、事故当時20歳看護学校で就学しつつ病院勤務をしていた被害者(男性)について賃金センサス産業系・企業規模計・男性・高専短大卒の平均賃金を逸失利益の基礎収入と認めたり(名古屋地裁平成18年2月10日判決)しています。   また、前年の収入が転職等のため極端に低かった場合には、その前、数年間の所得を証明することによっ  て、異なる取り扱いを受けることもあります。
 
2 事業所得者の場合は、原則として、事故前年の「申告所得額」です。
  もっとも、若年者の場合、給与所得者の場合と同様の処理がされることもあります。
    また、確定申告額が実所得額より少ないことが窺われた喫茶店経営者のケースで、事業を始めるまでの手  取り収入額(被害者家族の生活レベル)や借金等により生活を維持していたことを窺わせる事情がないこと等から、確定申告額以上の収入があった可能性が高いとして、賃金センサス産業系・規模99人以下・調理師男性労働者の全年齢平均賃金を基礎収入とした例もあります(名古屋地裁平成17年10月15日判決)。
 
3 専業主婦の場合は、原則として、「全年齢平均賃金額」(「女性労働者・学歴計・全年齢平均賃金額」)が用い られます。     
  もっとも、体が悪くて働けないケースのように、生涯を通じて「全年齢平均賃金額」に相当する家事労働を行い 得る蓋然性が認められない場合には、減額されてしまうこともあります。

4 有職の主婦の場合は、「実収入額」が「全年齢平均賃金額」を上回っている場合、「実収入額」を基礎とし、逆 に、下回っている場合、専業主婦の場合と同様に扱われています。

 
5 学生・生徒・幼児等の無職である者の場合、原則として、「全年齢平均賃金額」(「男女別・学歴計・全年齢平  均賃金額」)が基礎とされます。
   もっとも、生涯を通じて「全年齢平均賃金額」を得られる蓋然性が認められない場合には、減額されてしまう  こともあります。
 
6 高齢者でも、労働能力及び労働意欲があり、就労の蓋然性がある場合、「年齢別平均賃金額」(「男女別・学 歴計・年齢別平均賃金額」)を基礎として、逸失利益が認められる場合があります。
 
7 失業者の場合は、労働能力及び労働意欲があり、再就職の蓋然性がある場合、原則として、「再就職によっ て得られるであろう収入額」が基礎とされます。
  もっとも、若年者(概ね30歳未満)の場合には、給与所得者の場合と同様に扱われます。
 
 いろんなケースがありますが、実情をねばり強く訴えることで、有利な認定を得られることがありますので、あき らめないことが大事です。