2013.10.07 月曜日

豊橋発:傷あと(外観醜状)の後遺障害~その2

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まず他の記事でも触れているかと思いますが、一定の後遺障害が発生した場合、それぞれの後遺障害等級に対応した労働能力喪失率を参考資料として、被害者が得られるべきである年収の何%の労働能力が喪失され、損害が発生したと考えるようです。 そして、被害者の年収(または平均年収)×労働能力喪失率×喪失期間に対応するライプニッツ係数(利息分を考慮した係数)で、逸失利益が算定されることになります。
労働能力喪失率は、外観醜状の場合は、12級または7級となりますが、それぞれ後遺障害等級表からすると、 14級= 5% 12級=14% 7級 =56% という数値が示されています。
もっとも、この数値は参考資料なので、実際にどの程度の労働能力喪失率なのかは、それぞれの後遺障害の程度によって上下変動が起こります。 特に醜状については、上記参考数値からはかなり変動があるようです。
 
例えば、
■女性:CA専門学校生:症状固定時19歳(顔面醜状、7級)の場合 事故後にCAとして採用試験を受験するも不合格となり、別の職種に就職した経過や、顔面の傷が目に付きやすいところにあり、かといって前髪で隠すと陰気な印象になるなどとして、就労可能上限とされる満67歳まで、20%の喪失率を認めたもの(広島高判岡山支判H10.3.26)。
 
■女性:幼児:症状固定時2歳(顔面傷痕、12級)の場合 将来就職するに際して不利な要因となり、就職機会の困難さを招くおそれが高く、このことはより多くの就業機会、より多くの収入を得る機会を制約するものであるなどとして、満67歳まで、14%の労働能力喪失を認めたもの(福井地裁敦賀支判H14.5.17)。
顔面の傷あとによって、就業機会を制限されたり、そのことによって収入が得られない可能性があるなどといった事情が考慮されています。
 
また、男性の場合もあります。
■男性:アルバイトの予備校生:症状固定時23歳(顔面醜状、12級)の場合 男性といえども傷あとによって希望職種への就職が制限されたり、就職しても営業成績が上がらない、仕事の能率や意欲を低下させ、ひいては所得に影響を与える可能性があるなどとして、症状固定日から10年間は10%、その後の10年間は5%の労働能力喪失を、それぞれ認めたもの(東京地判H12.8.22)。
 
やはり、醜状の問題が所得に影響していることを前提とする判断となっています。
このほかにも色々なケースが存在しますが、究極的には所得に影響を与えたか、与える可能性があるかという点が立証のポイントとなっています。 醜状があることそのものから損害賠償が認められる、ということではなく、醜状があることによって所得の減少が認められる、もしくは可能性があるとして、損害賠償が認められることになるようです。