名古屋E&J法律事務所ブログ

2013.11.13 水曜日

倒産するべきか?

ある企業からの相談を受けた。創業して40年、妻とともに順調に事業を伸ばし、従業員もそこそこ増やしてきた。しかし、リーマンショック以降急激に売上が落ちてきた。そして、初めて銀行から融資を受けた。

 
 この老夫婦には後継者はいない。もう十分がんばった。事業の見通しも暗い。そろそろ店じまいして、老後をゆっくりと暮らそうと私のところに相談に来た。借金の問題は会社、社長個人を破産させれば解決がつく。
 
 社長個人に資産があれば何も社長個人まで破産する必要は無い。ずるい話だが、個人に対する債権追及はかなり難しい。銀行や保証協会の調査能力は税務署などに比較すればほとんど無いに等しい。会社が倒産したということで、居直ってしまうとそれ以上追及できなくなってしまうことがある。
 
 私の事務所では、最後まであきらめないでがんばろうというのをモットーとしている。多くの事業者は事業から離れたら生きていけない。それだったら、今までまもってきた事業を何とか残して、継続させていくことが社長個人のためにも、家族のためにも、従業員のためにも、社会全体のためにもいい。債権者には悪いが、倒産すればどのみち回収は不能だ。
 
 しかし、この相談事例では事業を倒産させた方がよいように思われた。会社の場合、倒産するにしても150万円から200万円必要になる。長年働いてくれた社員に対する配慮も必要だ。社長夫婦の残りの人生をうまくやっていくことも考えなければならない。こうしたことを総合的に考えて、最良の選択をすることになる。
 
 実はこの会社は倒産準備のために税理士と相談をしていた。ところが、この税理士はなんと、会社の資産を倒産直前に移すように指示していた。これは大変なことだ。本当はそんなことをしなくても、資産は保全できた事例なのだが、なまじ、技巧をこらしたおかげで、不正な財産流出の形になってしまったのだ。
 
 詳しくは言えないが、生半可な知識で中途半端処理をしたために、1000万円近い財産を失う可能性ができてしまった。弁護士にきちんと相談していれば、不正もなく、財産も保全できただろう。