2013.12.04 水曜日

豊橋発:年少者の逸失利益

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  逸失利益とは、簡単に言えば、被害者が死亡したり、後遺障害を負わなければ、その後の就労期間において得ることができたと認められる収入のことです。そして、その逸失利益は、基本的に事故前の収入を基礎に算定されます。

 
 では、年少者の逸失利益はどのように算定されるのでしょうか。
この点、男子については、原則として男性労働者の全年齢の平均賃金額を基礎として算定されています。
 
 これに対し、女子の場合何を基礎とすればいいのかについては様々な考え方があります。  従前、女子の逸失利益については女子労働者の平均賃金額を基礎とするのが一般的でした。しかし、それでは男女間格差が著しいものとなり、強く批判されました。
 
 そこで、女児について男子を含む全労働者平均賃金を基礎にして逸失利益を算定する下級裁判例が現れ(奈良地葛城支判H12.7.4判時1739号117頁、東京地判H13.3.8判時1739号21頁)、東京高裁、大阪高裁でこれを支持する判決が出されました(東京高判H13.8.20判時1757号38頁、大阪高判H13.9.26判時1768号95頁)。これに対し、従前の女子労働者平均賃金額を基礎とする高裁判例も同時期に出され(東京高判H13.10.16判時1772号57頁)、最高裁の判断が注目されていましたが、最高裁はどちらの算定方法についても結論を維持し、最高裁がどちらの考え方を採用しているのかはまだ示されていません。
 
 しかしながら、最近の下級審裁判例では、年少女子(少なくとも義務教育修了前)については、全労働者平均賃金額を基礎とする方法が採用されているようです。
 
 もっとも、その方法を採用するとしても、男子については男性労働者の全年齢の平均賃金額を基礎として算定されますから、男女間格差が完全に解消されたわけではありません。
 
 個人的な意見としては、女子労働者の平均賃金が低いのは女性の労働能力のすべてが金額に反映されていないからで、特に主婦の家事労働分が賃金として現れていないために平均賃金が低額にとどまっていると考えられますから、女性労働者平均賃金額に家事労働分を加算して算定する方法や、女子の場合についても男性労働者平均賃金額を基礎として算定する方法などがよいのではないかと考えています。