2014.03.07 金曜日

豊橋発:下請けの交通事故と発注者の責任

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 下請けの従業員が交通事故を起こした場合、雇主は責任を負うが、発注者は必ずしも責任を負うわけではない。しかし、特別な場合責任を負うことがある。

 
 従業員が業務中に事故などを起こした場合、会社は責任を負わなければならない(民法715条)。私達はこれを「使用者責任」と呼んでいる。従業員によって利益を得ているのに、責任を従業員だけに負わせ、自らは負担しないというのは不公平だという考えに基づいている。
 このことは交通事故でも当てはまる。交通事故の場合は自賠責法3条というのがあって、「自己のために自動車を運行の用に供する者」、つまり、人に自動車を利用させている者は交通事故によって生じた責任を負わなければならない。
 これは、「使用者責任」よりさらに幅が広い。自動車を貸したとかいった場合にも責任を負うことになっている。最高裁判例では運行全体を観察して、客観的・外見的にその有無を判断することになっている(最判1S48.12.20.判時737.40)。
 外注した下請けが、さらに孫請けに出し、その孫請けが交通事故を発生させた場合に発注者は責任を負うことがあるだろうか。
  発注者 → 下請け → 孫請け → 従業員
 このような関係の場合、従業員と発注者との間には直接の関係は無い。「請負」の場合、事業毎の独立性が高いため、発注元が自動車を使わせていたというような関係がないというのが法の建前だ。
 例えば、家を新築する時、大工さんの従業員が事故を起こしても施主が責任を負うことはない。これは工事が大工さんの独立した裁量で行われるからだ。請負というのは仕事をまるごと任せてしまうので、施主から独立した存在という建前になっている。
 
 しかし、そうは言っても、世の中には限りなく雇用に近い請負もある。たとえ、孫請けの従業員であってもまるで従業員のように振る舞っていれば。発注者は運行供用責任を負う。
 横浜地裁は発注会社に責任を認めている(H24.9.11.判時2170.97)。
 ① 孫請けとはいえ、発注者が現場を指示していたこと。
 ② 孫請け会社社員が発注者の制服を着用していた。
 ③ 車両等の運行コースも発注者が決めていたこと
など、外形的な要素を考慮して孫請け会社社員の加害行為に対して発注者の責任を認めている。
 
 判例は次のような場合、元請けなどの責任を認める。
 ・直接間接に指揮監督関係が及んでいる場合(最判2S37.12.14判時325.17)
 ・関節に指揮監督していた場合(最判3 S46.12.7判時657.46)
 ・指揮監督関係にあるが専属的従属的関係に立つものではない場合(S50.9.11判時797 .100)