2014.04.18 金曜日

豊橋発:日本電産vs,三星電気

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 特許など知的財産をめぐっては、国際的な事件になることが少なくない。その場合の裁判所は日本なのかあるいは相手国なのか争いになる。本件は大企業の事件だが、中小企業にとっても他人事ではない。

 
 むしろ、中小企業は知的所有権やノウハウなどによって勝負しなければならない場面も多いのだから、かえって切実かも知れない。本件は知的財産だが、材料の仕入れ、製造の外注など韓国や中国との取引をしている企業はかなり多い。国際間の紛争を国内の裁判所が裁くことができるだろうか。
 
 こうした問題は国際私法と言って、かなり専門性が高い。
 
 本件は日本電産がモータ(ODDモータ)について特許を有するというので韓国法人である三星電気(日本サムソン)に対して特許法100条1項に基づいて物件の譲渡の禁止及び損害賠償300万円を求めた事件である。
 
 サムソン側は営業所もないし、営業担当者も日本にいない、全て韓国で行われている行為だから日本の裁判所では審理できないと主張した。原審はサムソンの主張を入れて韓国の裁判所で審理するべきであるとした。
 
 しかし、高裁は日本で審理できるとしたのである。本件製品はウェブサイトで日本から申し込むことができる。サイトでは販売本部に「日本」を掲げ、問い合わせ先として東京港区を示している。サムソンの営業顧問の住所が東京港区になっている。サムソンの営業担当者は日本で活動している。本件モータを搭載したDVDマルチドライブが日本で売られ、国内で流通している。
 
 つまり、サムソンは日本に営業所があるように振る舞い、日本の営業担当者が営業活動を行い、日本で商品を売っているというのである。そうであるなら、何も韓国の裁判所で審理する必要は無い(知的財産高裁H22.9.15、判タ1340号265頁)。
 
 ちなみに国際裁判籍については最高裁判所は、日本の法律、国際慣習法を考慮し、それがない場合には「当事者間の公平、裁判の適正・迅速の理念により条理によって決定する」ものとされている。国内に裁判籍がある場合には原則として日本国内で、公平、適正、迅速を害するような「特段の事情」がある場合には当該国で審理を行うとしている(最2小S.56.10.16)。本件は「特段の事情」はないとしたのである。