2014.05.13 火曜日

豊橋発:将来介護費用について、被害者が一時金による損害の賠償を求めたことに対し、裁判所が定期金による支払を命じたこと

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民事訴訟の大原則として、処分権主義というものがあります。
これは、訴訟手続の開始、審判範囲の特定、訴訟手続の終了については、当事者の自律的な判断に委ねられるという原則のことです。この原則の結果、裁判所は、当事者が申し立てていない事項について裁判できないことになります(民訴法246条)。
そこで、将来介護費用について、被害者である原告が一時金による支払を求めたことに対して、裁判所が定期金による支払を命じたことが、当事者が申立てていない事項について裁判したと言えるかどうかが争点となった判例が、東京高裁平成24年10月11日判決です。
 同判決を要約しますと、
  ①平均余命を前提として一時金に還元して介護費用を賠償させた場合、余命が的確に予測できない。将来介護費用について、その後死亡した場合には死亡後の期間の介護費用は損害として請求できないことからすると、一時金の場合賠償額が現実と比較して過多あるいは過小を生じることになり、かえって当事者間の公平を著しく欠く結果を招く危険がある。これを回避するためには定期金賠償が合理的。
 ②賠償金の支払をするのは事実上保険会社であり、企業規模からして将来にわたって履行が確保出来ていることからすると、定期金賠償を採用することが相当。
 ③一時金か定期金かは、損害金の支払方法の違いがあることにとどまっていて,当事者の求めた請求の範囲内と解されるから,処分権主義に反しない。
とのことです。
  実務上参考になる判例と言えるでしょう。