2014.05.21 水曜日

豊橋発:契約グループ理論

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 契約上グループとして責任を負担するべきであるという考え方がある。法律的には、「相互に依存する連鎖的契約を全体的に考察して責任の所在を考察する。」などと、外国語みたいな言葉を使って説明する。
 
 要するに、2人でいっしょに仕事をするという約束だから、2人で責任を負いなさい、3人でいっしょに仕事をしたなら3人で責任を負いなさいという単純な話を、「外国語」を使って説明している。
 
 この「契約グループ理論」を考える格好の判決が下された。
 
 剣菱酒造株式会社は清酒の瓶に貼るラベルの読み取り装置の導入を図った。瓶を回転させた上で、ラベルを読み取り、正確な位置に貼られているか読み取る装置だ。読み取り装置を受注したのは日制システム、回転装置を受注したのはグンゼ株式会社だ。
 
 グンゼの装置に不具合があったために、せっかくの読み取りができなくなってしまった。剣菱としては請負代金を返して欲しいということになる。グンゼは回転に不具合があったのだから債務不履行責任はしかたがない。しかし、日制には罪はない。一審は日制の責任を否定した(大阪地裁H20.9.30)。
 
  ところが、大阪高裁は日制にも責任を認めた(H21.12.25判時11頁)。
 つまり、読み取り装置は回転装置あっての装置だ。契約成立過程から履行に至るまで、相互に連絡を取り合って装置を作り上げてきた。客観的には不可分一体の装置であるし、契約成立から履行に至るまでの契約交渉の過程からすると、お互いに意思を取り合って仕事を受注し、履行してきたという関係にある。それならば、相互に一体として取り扱うべきではないかというのが高裁の考えである。
 
 高裁は次のように述べて日制の責任を認めた。履行補助者の法理を活用した点は非常に興味深い。もっとも興味深いのは法律関係者だけかもしれない。
「確かに・・・2つの契約は別個の契約として締結されているが、・・・相互の契約関係及び当事者の共通認識からすると・・・履行補助者の故意過失と同様の法理により、信義則上・・・日制に・・・債務不履行責任があるということができる。」