2014.06.13 金曜日

豊橋発:中国土地取引、下駄を履いてみないと分からない。

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 中国土地取引は日本と制度が根本的に違うので下駄を履いてみても分からないことがある。中国には土地の私的所有は認められていない。土地は国有か農民集団の所有となっており、私的所有は認められていない(土地管理法第8条)。
 
 個人は「使用権」しか与えられていない。使用権は国有地では「払下使用権」、「割当所有権」、農民集団の「集団使用権」と分かれることになる(都市不動産管理法8条、22条、23条など)。払下使用権は譲渡、賃貸、抵当権の設定、相続などが認められており、所有権を取得するのとほとんど変わらない。
 
 日本では、土地所有権を取得した場合、名義変更すれば一応安心できる。中国では払下使用権の落札をした後に土地使用権払下契約書の締結、契約の登記、土地使用ということになる。契約の登記というのは土地使用権証によって現実に移転登記しているか常に確認する必要がある。
 
 現地との合弁によって企業を設立する場合、現地が土地を現物出資することが少なくない。ところが、中国側の都市計画の変更によって土地が強制収容されることがある。この場合、補償金は名義人に支払われるため、現実に使用こくしていても登記が変更されていないと補償金は元の所有者に支払われてしまう。現実に使用し、合弁企業を稼働させるにあたって、土地使用権証によって名義移転を確認しておかなかったミスということになる。
 
 このあたりは中国企業どうしてもトラブルになるらしい。
 A社とB社は合弁契約を締結して、B社が土地を現物出資することになった。A社としては払下使用権を出資してもらうつもりだったが、B社が現実に提供したのは割当使用権だった。A社は割当使用権では転売できず財産的価値はないとして、契約上払下使用権相当額とされていた75万元を請求した。
 
 山東省高級人民法院は、割当使用権でも出資として履行したと判断し、原告の請求を棄却した。しかし、最高人民法院は別だった。割当使用権でも出資できる場合があるとした上で、次の書類が欠けるため、合弁企業への出資とはならないと認定した(別冊NBL、№132)。
 ① 国有資産管理部門の認可を受けたことを証する書類
 ② 割当使用権の使用権を合弁会社が授権したことを証する書類
 
 割当使用権も一定の要件があれば払下使用権でなくとも現物出資できる(都市不動産管理法40条2項)。しかし、これら①、②がなければ当該土地を合弁会社に資産として編入できない。
 
 本件では合弁契約で「使用権」とのみあり、割当か払下か明示していなかった。割当使用権でも土地利用の目的は達するが、資産価値はかなり違う。この当たりの契約書の厳格さと、土地を確定的取得できるまで出資とは認めないという履行の厳格さが必要になるだろう。