2014.07.04 金曜日

豊橋発:不動産詐欺

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 時々、不動産を取引するから詐欺に遭わないように契約書を検討して欲しいという相談を受ける。しかし、不動産売買の契約書は通常市販された定型的な書面を使うので、契約書によって騙されるということは考えにくい。
 
 詐欺にあうのは契約書そのものよりも、通常とは異なるイレギュラーな流れで取引を行うような場合だ。特に重要なのは当の本人になりすましたり、本人に会わないまま取引をするような場合に詐欺は起こりやすい。
 
 例えば、不動産を売却する際に、履行日当日になってお金が用意できない、あるいは実は買主は別人であるなどと言ってくることがある。そこで、中途半端な対応をとると不動産を騙し取られたりする。「そんな話は聞いていない。取引はもう中止で出直してこい。」と言えるかどうかがポイントだ。話を壊す勇気をいつも持ち続けないと厳しい現場は乗り越えられない。
 
 お金がほしいと、いい取引だから何とか残したい、ここで潰すのはもったいないと思うとだめだ。相手はその気持ちにつけこんで強引に取引をし、強引にお金を払わせる。こちらはいつでも話を潰せるぞという気合いが大切だ。
 
 私の依頼者はある商品の販売を大量に売り込んだのだが、売買契約書が偽造されていた。物品は先行して発送したが代金は回収できなかった。新しい事業展開をする上で、比較的大きな取引だったのでとことん話を詰められなかったのかもしれない。
 
 司法書士に1億7000万円の支払が命ぜられた事例がある。
 これは、売主になりかわって司法書士に登記を依頼した事件がある。権利証に変わる保証書を作成するために司法書士は本人確認したのだが、その際提示された身分証明書(運転免許証)は偽造されたものであった。
 
 司法書士は手渡された運転免許証を、ケースに入れたまま見ただけだった。判決文は「ケースから取り出して、その外観、形状を確認すべきである」として、司法書士に1億7000万円の支払を命じたのである(東京地裁H20.11.27、判時2057、107頁)。司法書士の報酬はそれほど大きくないのに1億7000万円の賠償命令は酷な気がするが、確かに法務省や司法書士会のマニュアルにはきちんと確認しろなっている。
 
 さて、この事件の教訓だが、取引全体を見ると確かに非常に不自然だ。不動産取引の通常のやり方とはずれている。このときに、慎重になるべきところを怠ったということになる。