名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.04.05 水曜日

時効の起算点

 交通事故の加害者に対する損害賠償請求権は、基本的には物損などは事故日から、後遺障害部分については、症状固定日から、3年で時効消滅します。加害者加入の保険会社に対する場合も、最近事故を起こしたのなら、基本的に3年だと思って良いです。
 時効消滅すると、基本的には一切支払われなくなってしまうので注意が必要です。特に症状固定日に争いがあるような場合だと、まだ大丈夫、と思い込んでいて時効消滅、ということになりかねません。
 法律家はその点はすごく気をつけますが、法律家に相談もしないままなんとなく3年が経っちゃった、なんてことがないようにしましょう。
 じゃあ、事故や症状固定から3年経っちゃったら絶対アウトなんでしょうか? 
 請求したくても加害者の住所とか連絡先がよくわからない場合でも時効消滅してしまうんでしょうか?
 まず、条文上は、こうなっています。
 民法第724条  「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が『損害及び加害者を知った時から』三年間行使しないときは、時効によって消滅する。・・・」
 そして、判例によると「損害及び加害者を知った時から」とは、「被害者において、加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況の下に、その可能な程度にこれらを知った時を意味するものと解するのが相当である(最判昭和48年11月16日・民集27巻10号1374頁)」とされています。
 つまり、損害賠償請求ができるくらいに自分の損害や、加害者をわかった時から、時効が進みますよ、ということになっているんです。
 ですから、まず、損害については、はじめに戻りますが、基本的には事故時、症状固定までどこまで残るのかわからない後遺障害については症状固定日、ということになるわけなんですね。
 次に、加害者については、加害者の顔はわかっても、住所も氏名も的確にはわからないような場合には、加害者に賠償請求はできません。
ですから、このような場合は、加害者の住所氏名を確認して、初めて、「加害者を知った」ことになるとされています(上記昭和48年最高裁判決)。