2015.02.10 火曜日

豊橋発:「手付け」って知っている?

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 「手付を打つ」とか、「手付け倍返し」とか、いろいろいろな言葉がある。不動産取引では普通に使われるし、建築などの請負でも使われている。
 
 手付けというのは、契約に際して交付される金員で、手付契約を言われている。
 つまり、売買などの本体の契約とは別に手付契約を締結するとされている。
 
 契約は契約書にサインして成立という考え方だ。しかし、昔は契約書があると場合が少なかった。むしろ、話しがまとまり、手付を打って成立ということも少なくなかった。そこで、手付は売買契約成立の証拠として考えられている。
 
 手付を打って、いよいろ、売買代金を支払って、物の引き渡しを受けようという段になる。しかし、やっぱりやめようということもある。日本の取引慣習からすると、手付を放棄して売買はやめにしようということもできる。逆に、手付を倍返しして取引をやめようということもできる。
 
 契約は成立すれば必ず守らなければならない。契約解消は債務不履行など限られている。しかし、手付を放棄したり、倍返ししたりする場合には理由なく、気に入らないというだけで解除ができる。
 
 例えば、最初は適切な値段だと思ったが、やっぱり安い、もっと高く買う者が現れたから解約して、新たな契約を結びたいとか、この骨董品を買おうと思ったがやっぱり気が変わったとかいろいろある。解除に理由はいらない。
 
 民法557条1項ではこのように定めている。
 「買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。」
 
 注意を要するのは、相手が「履行に着手」した場合には民法557条による解除はできない。準備したのに解除されてはたまったものではないからだ。しかし、これは難しい判断だ。これは弁護士に相談して判断してもらう外はない。
 
 こんな風に言われている。
「債務の内容たる級の実行に着手すること、すなわち、客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部をなし又は履行の提供をするために欠くこととのできない前提行為をした場合を指すものと解すべきである」(東京地裁H21.9.18判タ1350、199頁)
 
 土地売買の履行の準備として、賃借人に出て行ってもらうような場合には着手に当たりうるということになるだろう。
 
 手付にはこの外にも、違約金の一部、全部という意味が含まれている場合もある。