2015.03.05 木曜日

豊橋発:パタゴニアの危機,そして理念

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 アウトドア衣料で国際的に有名なパタゴニアだが,1991年7月31日,成長してきたかに見えたパタゴニアは120名を整理解雇した。
 
 それまで,パタゴニアは大家族のような雰囲気の会社を目指して成長を遂げてきた。成長の速度に組織体制がまにあわないため,事業の収益性は落ち,さらには大量の在庫を抱え込むことになった。パタゴニアの社長,イヴォン・シュイナードの著書では「会社の歴史上,唯一最大の暗黒日だった。」と述懐されている。
 
 この逆境の中で,10人余りの経営幹部はアルゼンチンにある,山岳地,パタゴニアを訪れた。「各人が,この原生地域を歩き回りながら,なぜビジネスに携わっているのか,パタゴニアをどんな会社にしたかったのか自問した。」
 
 「十億ドル企業?それもいいだろう。だた,誇りに思えない製品を作る必要があるなら,お断りだ。私たちはまた,一企業としてもたらす環境に与える悪影響を抑えるにはどうすればよいか議論した。共通の価値観や,みんなをほかの企業ではなくパタゴニアに引き寄せた共通の文化について話し合った。」
 
 「自分たちが常に正しい疑問を抱き,正しい答えを見つけられるよう,哲学的で想像力をかきたてるガイドとなるものが必要だ。私たちははこれらの指針を「理念」と呼び,おおきな部門あるいは職務ごとに一つ設けた。」
 
 そして,パタゴニアの理念を打ち立て,その理念の浸透のために,社員とともにキャンプに出かけ,理念についてのセミナーを開いたりした。こうした努力や,自社の根本改革を通じて,パタゴニアは組織改善を繰り返し,1991年以降急速に立て直していったのだ。
 
 私はこの部分に深い共感を覚える。
 理念無くして会社の正しい運営はありえない。パタゴニアはイロコイ族が意志決定の過程で7世代先まで考慮するということを模範とした。企業そのものの存在意義を明確にし,社会の中で持続性を獲得することこそが必要だというのである。
 
 「誇りに思えない製品を作る必要があるなら,お断りだ。」なんと,胸を打つことばではないか。弁護士として生まれて,「誇りに思えない仕事をする必要があるなら,お断りだ。」,これが我が事務所のあり方だ。