2015.03.27 金曜日

豊橋発:新社長の苦悩

新社長の苦悩

 私の顧問先が最近事業承継を果たした。創業者は脱サラで機械1台から事業を始め、現在では経常利益で1億円から2億円の企業に育て上げた。この社長は身内を社内に入れない主義をとっていたので、後継者は子飼いの従業員だ。新社長は、先代を慕って会社を辞め、創業の早い時期から社長と苦労をともにしてきた。工場長だった頃は寝る間も惜しんで仕事をしてきたそうだ。
 
 先代社長はこの社員を早い時期から後継者と決めていたようだ。徐々に権限を委譲して生産管理、営業、組織管理など経理以外は全て判断できるまでに成長した。そして、自分は60歳になり前から定年退職すると決めていたところで事業承継を断行した。
 
 断行する数ヶ月前、先代は新社長に社長にならないかと話をもちかけた。彼は覚悟をしており、また、会社の事業のほとんどを任されていたということもあって、躊躇なく応じた。「社長は大丈夫なんですか。それでいいんですか。」というのは彼の言葉だ。仕事が生き甲斐の先代から仕事がなくなっても大丈夫なんだろうかと逆に心配していたらしい。
 
 11月半ば、いよいよ社長が交代した。先代は社員全員の前で発表し、突然のことに社員は驚いた。女子社員などは泣いたらしい。先代社長も泣いたそうだ。この会社は社長と社員が直接メールでやりとりしているのだが、一斉にメールがやってきて、今後は新社長中心にがんばりますということだった。先代がいかに社員に慕われていたかはこのエピソードからもわかる。
 
 ところで、新社長だが、社長にはなったものの、現実は甘くなかった。生産、営業、組織管理と全て彼はやれるはずだった。確かに彼は業務はできる。しかし、社長の責任はそんなものではない。全体がうまくいくように決断しなければならない。責任で押しつぶされそうな気持ちだったらしい。新たな設備投資についての銀行との対応、得意先の反応など大きな問題がいきなりやってきている。
 
 「おまえ、会社で笑ってないよ。」とは先代、今は会長の言葉だ。その通り、苦しい顔をすれば苦しいように社員に感染する。どんなに苦しく立って、乗り切れるという前向きな顔をすれば前向きなように社員に感染する。それは経営者、マネジメントする者の責任だ。