名古屋E&J法律事務所ブログ

2016.06.03 金曜日

預金の差押え

判決文をとると、被告の財産を差し押さえることができる。私たちが通常狙う財産は、土地等の不動産と預金だ。いずれも換価しやすく、債務を回収しやすい。とくに預金債権は現金そのものと言ってもいいので、まずこれを狙わなくっちゃと頭に浮かぶ。

 
 そのため、売掛金、貸金などの金銭回収に関する事件の相談を受けたときには、必ず依頼者に相手方の預金などに関する情報を聞かなければならない。仮に相手方に預金などがあると見込まれるような場合には「仮差押」と言って、預金を凍結する手続きを行うことを勧める。やるかどうかは別にしてこれを勧めないと弁護過誤と非難されてもしかたがない。
 
 預金債権と言っても、銀行名は分かるがどんな預金があるか分からない場合が多い。そこで、実務上は次のようにして差し押さえる。
 
「下記預金債権及び同預金に対する預入日から本命令送達時までに既に発生した利息債権のうち、下記に記載する順序に従い、頭書金額に満まで。
 
 数種類の預金があるときは次の順序による
   定期預金、定期積金、通知預金・・・普通預金、別段預金当座預金」
 
 つまり、考えられる預金をいろいろ上げて、ともかくその銀行にある預金を差し押さえようという考え方だ。
 
 しかし、差押えに当たっては支店名を特定する実務上必要がある。どこかの銀行に預金があるはずだというだけではだめで、○○銀行○○支店の各預金というふうに指塩さえなければならない。
 
 ところが、最近、支店を特定せず、支店間支店番号順に差し押さえるという方式が現れた。つまり、支店番号の若い順に差押え、空振りであれば、次の支店にと順次押さえていって、当たればその支店で止まるというようなやり方だ(東京高裁決H18.6.19、大阪高裁H19.9.19)。
 
 しかし、これらは全体としては例外的で、東京地裁、大阪地裁の実務的取り扱いとしては支店の特定は必要としている。最近でも東京高裁でこの実務の取り扱いが支持された(H23.5.16、判時2111号38頁)。
 
 弁護士の立場からすれば支店順に差し押さえるというのは必要だと思う。今日、預金はオンラインで完全に集中管理されていることからすれば、銀行実務から言ってもそれほど手間のかかる話ではないと思う。実際、税務では税務署は銀行預金に関する情報を根こそぎ入手して調査や差押えに利用している。