名古屋E&J法律事務所ブログ

2019.05.25 土曜日

中国東営経済開発区の魅力

中小企業のグローバリゼーションを研究している私たちにとって、東営市経済開発区は非常に重要な場所だ。

 
 東営市は黄河河口にある。渤海に面し、青島と天津の中間地点に存在する。開発が進み、進出企業に対する優遇策が失われつつある中国にあって、沿岸部では数少ない優遇策がある地区である。
 
 私たちがなぜこの地区に注目しているかというと、そこには大阪ウェルディング社という「溶射」を取り扱う中小企業が進出しているからだ。この企業は「溶射」によって機械部品の表面を加工し、部品の強度などを強化する技術を持っている。取り扱うロットは必ずしも大きくはない。また、特定の親会社を持っている訳でもない。そうした中小企業が上海で進出を果たし、さらに東営経済開発区に進出して成功しようとしている。
 
 特定の親会社を持たない中小企業が海外進出を果たすことは並大抵のことではない。
 この会社はまず、3名の従業員から事業を始め、1年で損益分岐点を超えることをめざす。従業員は中国人であり、工作機械も中国製でコストを下げている。しかし、品質を握る部分については日本製部品を使ったり、日本の工場で生産する。
 
 1年で利益をあげると、徐々に規模を拡大し、今年で4年目になるが、30人程度の規模に発展している。こうして基礎ができた段階で、チャンスを見て事業規模をさらに拡大するのだ。今期、大手企業の受注を受けて、新たに事業規模を拡張する予定だ。
 
 この方式で少なくない企業がウェルディング社のやりかたを模範に東営経済区に進出しようとしている。ウェルディング社自体は進出のノウハウを他の企業に惜しみなく提供している。
 
 この地区のもう一つの魅力はまだ若い開発区だという点だ。黄河デルタを持つ東営市は広大な湿地が未開発であった。この地に開発区を設定して大規模な工業地帯を作ろうとしている。そのため、海外企業の誘致も熱心で様々な優遇措置がある。その中でも重要なのは開発区が日本語ができるスタッフを3名配置し、進出に必要な行政上の諸手続を代行したり、不慣れな日本企業の人材確保、工場の確保の手助けをしている。
 
 このスタッフのサポートがいかにすばらしいかは、実際に接して見るとよく分かる。今回のツアーでもスタッフの至れり尽くせりのサポートが十分発揮されていた。
 
 例えば工場取得、会社の設立、事業の許可、銀行口座の開設など事業進出を果たすためには山のようにたくさんの許認可を得なければならないが、そのためには通常6ヶ月から1年かかる。冷たい役所に繰り返しおもむき、やっとのことで多くの許認可を獲得する。費用だって、その事務の代行を頼むと200万円ぐらいは見ておかなければならない。
 
  これを、経済開発区のスタッフが全てやってくれる。経済開発区なので全ての権限が集中しており、3ヶ月程度で手続きが完了する。