名古屋E&J法律事務所ブログ

2016.07.05 火曜日

あきらめないで。為替ディリバティブ

異常な円高が進んでいる。そんな中、「通貨オプション」や「クーポンスワップ」と行った為替ディリバティブに苦しんでいる企業も多いだろう。法律側はこの問題についてかなり解明されている。あきらめないで弁護士と相談して欲しい。

 
 交渉が成功して賠償金が3分の1になった例もある。莫大な賠償金を減少させて、その賠償金を短期借入金にすることで経理上の別枠として扱うことで当面の資金調達の負担を減少させることもできる。
 
 この問題解決のためには必ずしも裁判は必要は無い。最近で全国銀行協会(全銀協)、証券・金融相談センター(FINMAC)でのあっせんが効果を見せている。これを利用してうまく処理できるケースがかなり増えている。
 
 4、5年前、大手銀行も含めた金融機関が金融商品を販売し始めた。ドルを110円で買えるからリスクヘッジに契約を勧められたのだ。5年契約のところが多いため、この契約に今でも拘束されて、70円台となった今でも110円で買わなければならない事態に陥っている。
 
 例えば、毎月5万ドルの購入が義務づけられた場合、1ドル75円のレートだとした場合、それを110円で買わなければならないのだから毎月35円×5万ドル=175万円の損失を生じることになる。
 
 さらに、レバリッジという条項があって、一定レート以上になると、取引量を3倍にしなければならない例が多い。そうすると、毎月565万円の損失を為替損を被ることになる。これではたまったものではない。粗利率が仮に10%だとした場合、為替損の為に少なくとも毎月5650万円を余分に稼がなければならないのだ。
 
 為替ディリバティブは5年先のレートまで見越して取引するもので、先の見えない状況に対して多額の投資を行うものだ。しかも、円安が一定進むと銀行は取引から撤退でき、損を回避できる。円高が進むと取引量が3倍になって銀行が大もうけできるという不平等なしくみになっている。銀行によっては為替取引がほとんど必要ない企業にも売り込んでいる。
 
 銀行には十分な能力と情報がある。中小企業は銀行に対する依存性も高い。力関係で弱い。こうした関係は明らかに対等な力関係にあるとは言い難い。自由な契約を保証する為には、銀行には十分な説明義務と中小企業側の理解した上での同意が必要となろう。
為替ディリバティブについては、法律側の対応はかなり進んでいる。中小企業の社長は企業人とは言っても、銀行と中小企業とは能力や情報量に大きな差がある。
 
 金融商品取引法はこうした非対称性に対して、いくつか対策を講じている。また、金融庁も指導に乗り出している。いまや、解決の方式は確立していると言って良いだろう。莫大な損害金で引くにも引けないと思って諦めないで弁護士と相談して欲しい。