名古屋E&J法律事務所ブログ

2016.07.14 木曜日

特許権侵害の賠償金

 製造業は特許のことも注意を要する。最近、当事務所では商標権侵害あるい特許権侵害というような相談があいついでいる。高技術を売り物にしている製造業では自社で新しい商品を開発して売り出すことがよくある。この場合、コンプライアンスの問題として特許、商標、意匠などに気をつかう必要がある。日頃からこうしたことに気を配っていれば、紛争は未然に防げるし、ライバルに対しても権利侵害を主張することもできる。

 
 特許などの知的財産権の侵害はまず内容証明郵便から始まる。ある日、お宅の会社の製品は当方の特許権侵害となっているから製造を中止するようにいった内容の警告書が届く。
 
 この場合、相手の主張した侵害事実が正確であるか、相手が正当な特許権者かどうか、最悪の場合にいくらの損害になるかを検討することになる。
 特許権侵害の損害とはどのようになっているだろうか。
 
 特許権侵害については特許法103条によって過失が推定される。つまり、特許を侵害しているというだけで製造者は責任を負うことになり、何かの事情があるかどうかの立証は侵害者側が負担することになる。ちょっとややこしいかな。
 
 次に損害額だが特許権侵害の場合、原則は得べかりし利益(特許侵害が無かったら自社が得られたであろう利益)が基準になる。しかし、他人が作ったことで自社がどんな被害を受けたかということは分かりっこない。そこで、特許法は次のように処理している。
 
① 製品から得られる利益×侵害者が販売した数量(法101条1項)
  ※ 但し、特許権者の生産能力の範囲に限定される。この生産能力の考え方もけっこう難しい。
② ①が不明であった場合にはライセンス料が認定されて賠償される(法101条3項)。この場合のライセンス料については販売価格の1%から3%ぐらいではないかと思われる。
 
 パチスロ機をめぐる特許事件で東京地裁は次のように判断し、74億円の賠償を命じている(平成13年3月19日判決)。
 
 製品1台当たりの利益18万7290円
 販売数量 3万9600台
 
      187,290円/台×39,600台=7,416,684,000円