名古屋E&J法律事務所ブログ

2016.07.28 木曜日

楽天市場の責任

楽天市場には約3800万点の商品が陳列され、出店店舗数は2万6223店に及ぶ。楽天は「RSM」(Rakuen Maerchant Sever)と言われるシステムを利用して出店者の売買を仲介しているのだが、どこまで責任を負うだろうか。たとえば、出店者が商標権を侵害している場合に楽天はどのような義務を負担することになるだろうか。

 
 「チュッパ チャップス(Chupa Chups)」は1959年スペインでチュッパチャップスキャンディーの販売から始まったブランドで、今日では食品から日用雑貨まで幅広く扱っている。ある事業者がこのロゴを使って偽ブランド品を販売した。そのことについて、商標権者であるイタリアの会社が楽天相手に展示の差し止め並びに損害賠償請求を提起した。
 
 一般に店舗の借主が不法行為を働いても、貸主が責任を負うことはない。それは貸主が借主をコントロールする権限を持たないからだ。楽天についても仮装商店街に、仮装の店舗を貸し、そこで借主が販売するということであれば同じような理屈が成り立つ。
 
 一方で、楽天は仮装商店街そのものの構築し、出店者に便宜を図っている。仮装商店街全体をマネジメントして仮装商店街のブランド力を作り出しており、それによって利益を得ている。これは単純に店舗を貸して借主に自由にさせるというものではない。店舗と楽天とは強い相互依存関係があるから、楽天は事業の当事者として責任を負うべきではないかとも思われる。
 
 この事件はブランド側が敗訴している。裁判所は個々の売買契約は楽天の関与なく行われていること、掲載する商品情報を事前に知ることはできないこと、商品の出入りも楽天が関与していないこと、商品の発送作業にも楽天は関与していないこと等から、商品販売は楽天とは別個独立に行われていると認定した。個々の商店と個々の消費者との独立した売買行為だから楽天には責任はないとしたのである(東京地裁H22.8.31、判時2127号87頁)。
 
 この事件は事前に偽ブランドをやめさせるべきだっという考えで訴訟を進めている。この事件では原告の中止警告から直ちに店舗により表示が削除されている。仮に警告にもかかわらず楽天が何も措置を講じなかったら、楽天にも責任があっただろう。
 
 また、最近はビル全体に一つのブランド力をつけるために入居店舗を厳選し、日常的に指導、管理する場合がある。それはフランチャイズに近い方法だ。こうしたブランドを信頼して商品を購入するシステムができあがっている場合に、ブランドを築き上げている者の責任が全くないというのもどうかなという気もする。