名古屋E&J法律事務所ブログ

2016.08.18 木曜日

特許権利者

我が国の特許法は「発明者主義」を採用している。発明者は真に発明した個人であって、法人は発明者にはならない(特許法36条1項)。従業員が発明者の場合であっても法人は発明者にはならない。従業員の発明は従業員に帰属するが、法人は従業員との契約、就業規則などにより発明書の実施権を獲得する。

 
 ところで、「発明者」となるためには、当該発明の創作行為に現実に荷担していなければならない。単なる補助者、助言者、資金提供者、命令者は発明者にはなられない。「共同発明者」であっても単なる協力ではだめで、実質的に協力し、発明を成功させた者でなければならない。
 
 この点について、平成22年9月22日東京高裁判決は、共同発明者とは名ばかりだった事例で、着想を提供した者でもなく、また、その具体化についても協力者・補助者として実験を行うなどして発明の完成を援助したとも認められないとして、発明者であることを否定した。
 
 判決は「複数の者が共同発明者となるためには、課題を解決するための着想及びその具体化の過程において、一体的・連続的な協力関係の下に、それぞれ重要な貢献を行うことを要するというべき」と判断した(判タ1360号204頁)。
 
 中小企業では発明がけっこう重要なことがある。せっかくの着想が大企業や企業連携先に取られてしまうと言うこともある。大学の研究者と共同で開発して特許もとることがある。従業員が発明したのだが、社長の名前で特許権を取得していることもある。
 
 つまり、特許権者の名義と実際の発明の実際には差があることがあり、このことは中小企業も無関係ではない。