名古屋E&J法律事務所ブログ

2019.07.12 金曜日

ポジショニングスクール

経営学の教科書を順番に読み返している。かつては「なんだ当たり前じゃないか。」とぼんやりと読んでいたこともこうして読み返してみると新鮮だ。

 
 現在読んでいるところは「競争優位を構築する」という章だ。
 ここでは、ポジショニング・スクールの戦略論と資源ベース戦略論の簡単な解説がされている。
 
 教科書ではまず「完全競争」という考え方を示している。
 競争において何の障壁もない状態を完全競争と呼ぶ。これは経済学上の仮想社会だ。①売り手・買い手が無限に存在する、②取引される全ての商品、サービスは同質である、③市場参加者には完全な情報が与えられる、④誰でもいつでも市場に参入できる、といった条件を満たす社会だ。この場合、いろいろ競争が行われる結果、原価まで価格が落ち、最終的には企業の利潤は0となる。
 
 逆に言うと、競争に何らかの障壁がある場合には企業が利潤が生じると考える。
 完全競争に対する障壁の分析がポジショニング・スクールの戦略論ということのようだ。ハーバード大学のマイケル・ポーターは競争状態に対する影響を次の5つに分類した。
  ① 既存企業の対抗度
    企業間のライバルが多いというような意味だが、対抗度が高まる要因は次のものということらしい。
    ・企業数
    ・産業(当該産業の市場)の成長率。成長が遅い産業は小さなパイを分け合うことになり競争が厳しくなる。
    ・固定経費、在庫費用の高さ。在庫が高ければ在庫をきらうため安売りに走りやすい。
  ② 新規参入の脅威
  ③ 代替品の脅威
  ④ 供給業者の交渉力
  ⑤ 顧客の交渉力
 
 教科書では、競争障壁の例をいくつもあげている。マイクロソフトは供給側の交渉力がきわめて強いため、利潤が止まりやすいという。つまり、障壁こそが利潤の源だという考えである。
 
 これはかなりショックな発想だ。
 企業には自由な競争が必要だという思想が私にはある。しかし、一方で完全競争の障壁に利潤が生まれるということになるとなんだかこの思想と矛盾する。利潤を得るために完全競争からの離脱を求めて企業は活動するというのだから困ったものだ。たぶん、完全な競争という考えと、ある種の正義あっての自由という考えとは違うのだろう。