名古屋E&J法律事務所ブログ

2019.07.19 金曜日

介護老人施設での死亡事故

 少子高齢化が進行し、老人を対象としたビジネスも進んでいる。私の顧問先の病院でも老人施設を運営を始めた。老人は弱い存在で、事故が起きやすい。今日紹介の事例はそうした事故の一つだ。
 
 大正15年生まれの被害者は交通事故にあって以降、言語障害を発症し、認知症の症状が出始め、徘徊するようになった。被害者は何度も老人介護施設に入退院を繰り返していたが、平成19年12月29日、本件施設内の食堂を出て、浴室内に入り、浴室内で死亡した。
 
 遺族は介護施設の施設管理責任を追及して訴えを提起し、岡山地裁は賠償責任を認めて原告3名それぞれに約147万円、合計約441万円の賠償責任を認めた(岡山地裁、H22.10.25判タ162頁)。 
 
 判決文では次のように述べている。
「被告としては、適正な数の職員を配置し、入居者の動静を見守る努力を傾注するとともに、本件施設中、入居者が勝手に入り込んで利用することがあれば、入居者の生命身体に危険が及ぶ可能性がある設備ないし場所を適正に管理する責任を免れないというべきである。」
 
 病院ばかりでなく、最近は高齢者を対象とした事業がさかんだ。高齢者向けの賃貸住宅などはいい例かもしれない。病院のように日常的に入院患者を引き受け、患者管理に万全を期すようなノウハウがある施設は老人介護施設に向いているのだろう。そうでない事業者が関与する場合は病院の患者管理に関する体制を十分勉強する必要がある。
 
 例えば、病院では病院事故を防ぐために詳しいチェックリストを作り上げている。窓の施錠は大丈夫か、ベッドの高さは適切か、ベッドと窓との距離は適切かといった細かいところまで行き届いている。こうしたことを十分勉強するべきだろう。