名古屋E&J法律事務所ブログ

2016.08.24 水曜日

特約店契約の効力

 よく特約店という言葉が使われるが、その意味はいろいろだ。特定の会社の商品を専属的に卸ろすような場合もあれば、単なる取次店程度の意味もある。フランチャイズ契約の場合もある。
 
 特定のエリアについて独占的な販売権を与える代わりに、他社の商品を扱わない、取引量にノルマを課す、会社の指示に従うなどの契約を結ぶような場合が特約店の典型例だろう。このような場合、メーカーなどの会社としては地域ごとに独自に営業所を設けるよりは、特約店を設置することにより営業所運営の経費や、マネジメントの労力を省くことができる。
 
 ところで、このような特約店は全ては本社の求めに応じて活動するため、本社への依存度が強い。ある日、あなたのところとは取引いたしません、などと言われるとたちどころに路頭に迷うことになる。本社が取引上の依存関係を笠に着て脅かしてくれば通常は「優越的地位の濫用」となり独占禁止法に反する不正な取引という扱いを受ける
 
 新聞販売店契約もこうした従属的な契約の一つだ。新聞販売店の場合、新聞ばかりでなく広告収入もかなり多い。十勝毎日新聞はあるとき、子会社十勝チラシセンター設立して広告収入を奪おうと計画した。いろいろ協議を重ねたが結局は広告収入を奪われてしまったようだ。ともかく、いろいろあって、十勝毎日新聞は販売店契約を解除してしまった。
 
 これに対して、販売店は新聞販売店契約の更新拒絶などには正当な理由が必要であることから契約上の地位の確認を求め、あわせて不当な解約によって精神的苦痛をこうむったことから損害賠償請求を求めた。札幌地裁は更新拒絶は有効としたが、札幌高等裁判所は原審を覆して、販売店の請求を認めた。
 
 札幌高裁は「販売店の営業成績の著しい不振、販売店の犯罪行為等により新聞発行者としての信頼が失墜した場合など、新聞社と販売店との信頼関係が損なわれて契約関係の維持が困難となる」場合という判断基準を採用した。
 
 確かに、強い依存関係がある場合、契約解除は販売店にとっては死活問題になる。新聞社のために建物を用意し、新聞社のために設備を用意し、新聞社のために従業員を雇い、新聞社のために事業を続けてきた。十勝毎日新聞の仕事を辞めた場合に、他の同様の新聞社の仕事を引き受けるということはでいない。
 
 こうした強い依存関係のある場合にはやはりむやみに解除することは法的正義に反することになる。