名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.01.11 水曜日

退職後の懲戒解雇

職員が不祥事を起こした時、その職員が懲戒解雇を恐れて辞表を出すことがある。懲戒解雇になったら退職金は出ない。

 
 こういう場合、会社としては直ちに懲戒解雇の通知を出す。辞表を出してきたので変だと思っていたら会社の金を横領していたというようなことがある場合だ。
 
 懲戒解雇の場合、就業規則上の懲戒事由に沿って判断する。普通は一般条項があるのでそれを利用しながらどんなことが不祥事にあたるか判断していく。
 
 ・会社のお金を横領した。
 ・会社の顧客と個人的な取引をした。
 ・会社の企業秘密を利用して競業行為を行った。
 
 人を解雇するには解雇理由が明確でなければならない。まして懲戒解雇も同様だ。管理者として注意しなければならないのはそれらが解雇時にある程度明らかになっていなければならないことだ。
 
 つまり、懲戒解雇時には会社が禁じた個人取引しか分からなかったが、その後、横領の事実が判明したというような場合だ。懲戒事由に後付は認められない(山口観光事件、最1小判H8.9.26労判708号31頁、富士見交通事件、東京高H13.9.12労判816号11頁)。
 
 こうした懲戒事由の追加が問題となるのは、退職金を奪って良いかという判断に影響するためだ。退職金は長年の功労に対する報酬なのであるが、一次の不祥事がそうした長年の功労を帳消しにするようなものであったかは議論になる。そのため、会社としてはあれもこれもと後付けしたくなってしまう。
 
  この点の判例については次のものがある。
  中部日本広告社事件 名古屋高判H2..8.31労判569号37頁
  日本高圧瓦斯工業事件 大阪高判S59.11.29労民35 巻6号641頁