名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.01.12 木曜日

過小申告加算税賦課処分が取り消された事例

原告は半導体基板の製造、設計開発などを行う会社だが、機械などの減価償却の特例を利用して確定申告をしていた。ところが、特例を利用するためには増加償却の届出が必要だったのであるが、これを行っていなかった。

 
 この会社に国税局の担当者による調査が入ったのであるが、この調査中に原告は特例の適用ができなかったとして修正申告をした。しかし、税務署は調査中の修正であるから修正は認められないとして、過少申告加算税の賦課処分を行ったのである。
 
 国税通則法65条5項によれば「調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないとき」には過少申告加算税を賦課できない。
 
 加算税というのは過少申告によって納税義務に違反した者に課する罰金のようなものだ。正確には罰金とは言い難い性格はあるが、違反した時に重い税が課せられるので一般人の感覚からすれば罰金だろう。
 
 しかし、自発的に修正申告をした者についてはこの加算税は賦課されない。これは納税者の自発的な修正申告を奨励する制度だ。
 
 本件では調査が入ってからの修正だったため問題になった。既に調査が入っていれば、もはや自発的に修正したとはいいがたいというのが課税庁の考え方だ。
 
 これに対して裁判所は次の様な基準を示して本件加算税賦課処分を取り消した(東京地裁H24.9.25判時2181号77頁)。
 
 国税通則法65条5項の場合とは「税務署員が申告に係る国税についての調査に着手し、その申告が不適正であることを発見するに足るあるいはその端緒となる資料を発見し、これによりその後の調査が進行し先の申告が不適正で申告漏れの存することが発覚し更正に至るであろうということが客観的に相当程度確実性をもって認められる段階(いわゆる「客観的確実時期」)」だとした。
 
 本件は「届出」だけが問題になっているため、「届出の不提出が発見されるであろうことが客観的に相当程度の確実性をもって認められる段階に達していたことが必要である」とした。
 
 従って、調査官が得た資料の範囲ではまだ「届出の不提出」は分からないであろうと判断し、客観的確実時期に達していないとしたのである。
 
 まあ、まずいなと思ったらすぐ修正というのがよいではないかと思います。