名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.01.18 水曜日

家賃・地代の増減

建物を借りたり、土地を借りたりしている場合、契約関係は長く続くので、いつまでも同じ家賃、地代という訳にはいかない。家主や地主としては賃料を増額したくなるだろう。逆に、賃料を減額したくなる時もあるのではないだろうか。

 
 契約の原則から言えば、一度決めたことは変えられない。しかし、借家や建物所有を目的とする借地については賃料の増減ができる手続きが用意されている。
 
 借地借家法と言う法律があって、借家や建物所有目的の借地は強く保護されている。「居住権」という言葉がよく出てくるが(実際には居住権という法律用語はない。)、住んだり商売したりする場合には簡単に出て行けと言われては困るので借地借家法は居住や事業上の利益を強く保護している。
 
 「いやなら出て行け。」という言葉は借地借家法では通用しない。ひとたび貸したら、中々返ってこないということは覚悟しなければならない。
 
 一方で、借地借家法11条は「地代等増減請求権」という手続きを用意しており、貸し主、借り主双方が増額したり、減額したり請求することができる。お互いの意見が合わなければ裁判で決着するという仕組みになっている。
 
 注意を要するのは、借地の場合、あくまで「建物所有目的」の借地でなければ借地借家法の適用はない。人に土地を貸す時に契約書に「建物所有目的」などと記載されてしまうと後が面倒なことがある。注意を要する。
 
 ゴルフ練習場目的で借りて小さな事務所を設けることもある。しかし、主たる目的が建物所有でない場合には借地借家法の適用はない(最判S38..9.26裁判民集667・669)。ちょっと専門的だが、このような場合に借地借家法の類推適用も問題になるが最高裁は類推適用はないとした(最判H25.1.22判時2184号38頁)。
 
 なお、借地借家法の適用がない場合には民法の原則に戻る。
 民法609条は土地を借りていて収穫などが少なかった場合には賃料の減額を求めることができるが、これは耕作地にかかわる規定で、事業上の収益には適用されない。
 地上権については民法266条1項が274条を準用しており、地代の減免は認められない。