名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.02.07 火曜日

中国事業再編、「備えよ常に」、どうする労務

中国経済は大きく変化し、賃金問題、金融問題、環境問題の3つの問題をいかに乗り切るかで今後の中国経済のあり方が決まることだろう。日本企業も大きな変化に備えて、改めて事業を見直す必要がある。「備えよ常に」(be prepared)というのが今の中国だ。

 
 現状では、組織を再編について検討する必要があり、時には撤退、移転も考えておかねばならないように思う。
 
 例えば、上海。
 
 上海では経済の構造を情報産業など高付加価値なものを中心に組み立てようとしているし、世界経済の中心地として金融なども発展させようとしている。
 
 そんな中では製造業は必ずしも歓迎される存在ではなくなっている。都市化が進み、かつては農山村だった土地も今では大都市となり、新たな都市計画のものと移転を求められる例も少なくない。環境規制は日に日に厳しくなり複雑化している。上海の賃金や社会保障関係費用は増加の一途だ。
 
 上海の日系製造メーカーは中国国内事業について新しい戦略を立てる時期に来ていることは間違いない。これは尖閣諸島など日中の政治関係の悪化などと言うレベルの話ではない。政治問題は大きなハードルではあるが、今の中国の変化の中では相対的には小さな渦でしかないように思う。
 
 ともかく、中小企業とはいえ、中国に進出している企業は自分の置かれている立場を十分理解し、今後に備えていろいろな情報を手に入れておくことは必要なことだ。
 
 特に私は労務問題は中国では避けられない大きなハードルのように思われる。
 企業再編にあたっては人員の整理、解雇はつきものだ。中国はそもそも労働者の国として出発した社会主義国だ。人民の闘争により革命を起こし、今でもそれは国是となっている。加えてて歴史問題も横たわっている。
 
 この問題を甘く見ていると大企業だって大変なのに中小企業では中国企業の死命を制する問題にもなりかねない。
 
 中国労務問題について、北京の弁護士である劉先生はおもしろいことを言っている。人員削減や雇用調整にあたっては法律上、①適法性、②合理性、③許容性、④一貫性の諸要素を検討するべきであるという。①、②は日本でも馴染みのある考えだ。
 
 ③は解雇、雇用調整に至る、プロセスの問題だという。つまり、中国には様々なステークホルダーが存在し、それらに対する適切な説明、対応が不可欠だというのである。労働組合、政府部門(労働行政管理部門、商務部門、公安等)、共産党組織、といろいろある。
 
 中国は基本的には社会主義国であり、統制経済の国だ。3000年にもわたる官僚主義の歴史もある。いろいろなところで、きちんとしたコンセンサスを得ていく必要がある。まが、逆にきちんとコンセンサスを得ておけば、困った時のサポートにもなってくれる可能性がある。
 
 こうしたやりとりは、日系企業単独だけでは到底対応できない。
 当地の弁護士など専門家集団をきちんと組織して対応しなければならない。確かに専門家集団を取りそろえるにはコストがかかる。しかし、そうしたコストを止む得ないものと割り切る必要がある。