名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.02.16 木曜日

店舗屋上にジェットコースターを取り付けた事例

ドンキホーテの屋上にジェットコースターを取り付けたところ、震度3程度の揺れが生じることが判明した。契約は解除され、裁判所は被告に8億5993万7500円の支払いを命じた(東京地裁H25.3.29,判時2194、43頁)。これは支払った代金とともに撤去費用も含まれている。

 
  この事例は、ジェットコースターとしての利用は問題ないようだったが、震動によって店舗に悪影響を与える点をとらえて履行不能とした。つまり、社会通念上、履行したことには成らないと判断したのである。この社会通念というのは実はくせ者で、請負の目的、当事者の設計協議の過程、建物の実際の利用状況など総合的に判断される。これは、実際には当事者の意図がどこにあったかを中心に探ることになる。
 
 ジェットコースターを取り付ける契約は請負契約という契約だ。請負契約を履行しても、欠陥があれば債務不履行と言うことになる。欠陥がひどくて到底目的を達しないような代物であれば履行不能ということになる。
 
 本件では震動を発するようなジェットコースターは欠陥であるか、そもそも欠陥を生んだことに業者は責任を負うのかということが問題になった。ジェットコースター自体は一応稼働する。しかし、震動が起きたのではドンキホーテにやってきた顧客は非常に不愉快だろう。店舗内の商品も震動で落ちてしまうかもしれない。
 
 判決はジェットコースターとして利用できるとしても、建物に震動を与えたことが、欠陥だと判断した。つまり、店舗建物の屋上にジェットコースターを取り付けるという仕事である以上、店舗に影響を与えないように設計する義務があったという判断をしたのだ。
 
 一見、利用できるとは言っても社会通念から言って利用できると言い難い場合であっても債務不履行や、履行不能を認めた事例である。本件では物理的にどうのということも問題だったが、社会通念から見て債務不履行、履行不能を判断したということになる。
 
 ちなみに判決文によると、震動や騒音について基本的な検査ができていなかったようだ。ビルの上に作るのは初めてだったのだろうか。