名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.02.20 月曜日

請負代金の差押え

 判決で勝訴しても実はその次が問題であることが多い。
 もし判決で勝訴しても、相手が支払わない場合、強制執行するということになる。
 
 勝訴判決があれば不動産があればそれを差し押さえて競売にかける。預金があればそれを差し押さえて優先的にもらい受ける。実際にお金が無ければとることができない。ないところからは取れない。
 
 相手の取引先を見つけて取引先からの支払代金を差し押さえようということもある。この時、取引先が分かるというだけではだめだ。取引先とのどのような契約に基づいた支払か確定する必要がある。
 
 こういう例は一般的抽象的でペケとなっている(福岡高裁決定H24.6.18、判時2195号32頁)。
 
「債務者と第三債務者との間の舗装工事の設計、積算、施工、監理及び監督業務、建設工事の設計、積算、施工、監理及び監督業務、上記に付帯する一切の契約」に基づく「平成○年○月○日から平成○年○月○日までの間に施工した工事等の請負代金債権のうち、支払期の早いものから頭書金額に満つるまで 
 
 これは、特定期間の一切の請負業務から発生する債権を差し押さえようというものだ。しかし、工事の場所、具体的内容など個別の請負契約の特定がないと差押えできない。○○道路工事、○○に締結された請負契約であるとか、もう少し個別の請負契約の内容が分かる必要がある。
 
 あるいは、○○製造にかかる基本契約に基づく請負代金というような基本契約の特定でもよい。期限だけで特定して、その間の債権全部を一網打尽にしようという方式は許されない。
 
 しかし、債権者にとって、相手方の工事内容を知ることは非常に難しい。期間が特定されているのであれば、これでもよいかと思う。
 
 預金については最高裁は○○銀行の預金というな特定も認めていない。○○銀行○○支店というところまで特定しろとしている。これは私達は「全店一括順位付け方式」と呼んでいるが、最高裁はダメとしている(最3決定H23.9.20判時2129号41頁)。