名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.02.21 火曜日

海外取引での難物、移動価格税制

 私の妹は横浜で税理士をしている。久しぶりに名古屋に帰ってきて、ばあさんの家でいろいろ話していた。
 
 私が最近中国法務を始めたということを言ったら、彼女は「移動価格税制」の話をしてくれた。けっこう難しい。だが、これはかなり重要な問題だ。専門家なしでは検討できない。
 
【移動価格税制とは何か?】
 移動価格税制というのは関連会社間の取引における税制制度の問題だ。例えば、A社が完全子会社B社に物を売った場合、その価格によってA社の利益はB社の損失、A社の損失はB社の損失ということになる。
 
 完全な資本関係がある場合、どっちが儲けようが同じということになるが、税制がからむとややこしい。たとえば、B社が海外にある場合、税制が異なるため、やりようによっては税金を相当節税できる。
 
 たとえば、B社に安く売り、B社に利益を移した場合はどうだろうか。シンガポールなどは法人税などはかなり安いのでB社に利益を移した方が節税できる。しかし、それでは国益を損なう。
 
【独立企業間価格と「更正」、二重課税問題】
 そこで、日本政府は、関係のない独立した当事者間の普通の取引価格(独立企業間価格)ひ比較して低額である場合には、独立企業間価格と見なして課税するということをする(租税特別措置法66条の4)。
 
 海外のB社に利益を移しているのでこちらでも税金を支払う。一方で、利益は移っていないというようにみなして課税するので、結局二重課税になってしまう。これは一応、租税条約と言って、締結国間では二重課税問題を後から調整することになっている。この調整は「対応的調整」と呼ばれている。
 
 しかし、租税条約の締結していない国、(香港、台湾、アルゼンチン、ポルトガルなど)については、二重課税のままになってしまう。
 
【独立企業間価格の決定】
 問題は、こうした移動価格税制を回避するために、価格をいくらに設定するかという問題がある。
 
 これはかなり難しい。
 つまり、自動車等他の比較する事例がある場合はそれなりに検討ができる。
 
 しかし、例えば、サービスなどはどうしたらいいだろうか。
 海外に新会社を新設して、そこに従業員や役員を派遣する場合、最初は全額本国の会社が社員の給料を引き受けることもあるだろう。
 
 これは無償という一種の移動価格を設定したことになり、下手をすると二重課税問題が生じてしまう。こういう問題を回避するためにはやはり専門家との協議が必要だろう。