名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.03.09 木曜日

中国訴訟手続き

中国訴訟手続きは日本の制度と似ている点も多いが、日本のような司法としての独立が憲法上保障されているわけではない。中国の裁判所は人民法院と呼ばれて、全国人民代表者大会(日本の国会に当たる)の下に置かれている。人民法院は最高、高級、中級、基層の4種類があるが、原則二審性である。日本のように「まだ最高裁がある」という訳にはいかない。

 
 中国の法院(裁判所)は最高人民法院の下で強い官僚的統制を受けている。そのためか、手続き全体も官僚的な構造になっている。下位の裁判所は人民法院の院長や裁判員会の統制を受けている(人民法院組織法10条1項)。
 
 日本の場合、弁論主義と言って、当事者に立証責任や主張責任があって、裁判所は書庫集めなどに責任を負わない。これは民事にあっては私的自治と言って、市民活動の自由の領域であるという位置づけがあるためだ。市民社会では常に自己責任でものごとは進められなければならない。証拠の提出も市民の自由にゆだねるべきだし、事実そのものを裁判所に示すかどうかも市民の自由にゆだねるべきと言う考えがある。従って、真実発見は必ずしも裁判所の役目ではない。
 
 一方、中国の場合、真実発見も裁判の目的となっている(民事訴訟法2条)。そのため、職権による証拠調べ、証拠の提出命令が出される。日本にも似た制度があるにはあるが、中国との違いはどれほどあるかはよくわからない。たとえばアメリカなどの場合、ディスカバリーと言って証拠の提出を強制する制度があるが、これは非常に強力で相手の資料を根こそぎ手に入れることができる。中国の場合はあまりたいしたことはないかもしれない。
 
 中国の審理は原則として6ヶ月以内に終了しなければならないとされ(民事訴訟法149条)、訴訟運用はかなり職権的、つまり裁判所の強力な指導力が発揮されると思われる。制度上も証拠提出期限が厳しくされていたりしている。また、証人尋問よりも書証、つまり文書による証明を重視していることなど、早期の進行を重視した制度があるようだ。
 
 中国民事訴訟手続きは日本の制度に比較的よく似ているが、全体としては裁判所中心主義で、裁判所の指揮の下、強力に手続きが進められるようになっている。これがよいかどうかはよくわからない。