名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.03.10 金曜日

産業廃棄物が埋設された土地の売買

 売買された土地に産業廃棄物が埋設されていたために土地としての利用が妨げられた場合,売主に対して損害賠償請求が可能となる。
 
 紹介の事例は,Y市が昭和38年から平成元年にかけてゴミ焼却場を設置していた土地を平成2年にA社(平成18年X社に会社分割している)売却したところ,地中より大量の産業廃棄物が出てきたほか,一部には環境基準を超える鉛が検出された事例である。X社はB社に対して平成20年に売却,同じ年に産業廃棄物の存在が明らかになった。
 
 平成元年   ゴミ焼却場廃止
 平成2年   A社に売却
 平成18年   X社に会社分割
 平成20年   B社に転売
 平成20年   産業廃棄物埋設が発覚
 
 裁判所はY市において産業業廃棄物が埋設されていたことを知っていたこと,それを買主A社(X社)に説明しなかった違法があるとして不法行為に基づく損害賠償請求を認めた(大阪高裁25.7.12,判時2200号70頁)。
 
【消滅時効】
 この事件の注目すべき点は,消滅時効の問題だ。長期にわたって問題にならず,Y市が売却してから18年後に発覚したような事例で消滅時効は問題にならないのだろうか。
 
 このような事例では法律上は,瑕疵担保責任,売買契約上の債務不履行責任,不法行為責任といくつかの責任の種類が考えられる。本件では不法行為責任が選択された。不法行為責任は知ったときなど責任追及しうる時から3年,不法行為時から20年で時効となる(20年というのは正確には除斥期間と呼ばれ,時効とは異なる。)。
 
【産廃と瑕疵】
 土地の欠陥というのはどうだろうか。
 産業廃棄物が混入しているような場合,その土地がただちに欠陥ある土地ということにはならない。たとえば宅地として利用できるような場合には,コンクリートガラがあっても建物は建てることができる。
 
 本件では量,質ともに大量であったために,「その土地上に建物を建築するついて支障となる質・量の異物が地中に存在するために,その土地の外見から通常予想され得る地盤の整備・改良の程度を超える特別の異物除去工事等を必要とする場合は,宅地として通常有すべき性状備えないものとして土地の瑕疵になると認めるのが相当である。」とした。
 
【鉛と瑕疵】
 この事例は鉛と瑕疵の関係についても興味深い判断をしている。裁判所は平成2年当時には鉛については環境基準値もないことから鉛が検出されたとしても瑕疵には該当しないとした。