2017.04.25 火曜日

豊橋発:中国,白酒飲み過ぎは保険事故か?

中国,白酒飲み過ぎは保険事故か?

 中国,バイチュウ攻めで死亡した場合,保険,労災は問題になります。

 中国では何度も乾杯する。乾杯は文字通り飲み干す。私のような酒が弱いタイプは本当に困る。一度などは山東省東営市に行った折りには,地元で白酒の歓待にあいとんでもない目にあった。白酒って知っていますか。シロザケではありません。バイチュウと呼んでいます。baijiuですね。

 さて,私たち日本人が中国に行くとこんな具合の歓待を受けるのだが,日本には「郷に従え」などと考えて,これにつきあわないと日中友好は得られないなどと考えてしまう。中国人はこうした場に慣れているから飲むといってもけっこう適当にやっているきがする。床にこぼしたりしているかな。

 事件は平成21年,NHKが中国での日本海軍の行動を取材するためにスタッフが訪れた際に起きた。宴会の席で次から次へと白酒を勧められた。あるスタッフが白酒を飲み続け,ついにはホテルで急性アルコール中毒から誤嚥し,窒息死ししてしまった。彼は「杯を断るのは良くないですよ」「誰かがつぶれたら終わりですよ」など言っていたらしい。

 この人身事故について,AIU損害保険が支払いを拒んだことから,遺族が裁判を起こした。アルコール中毒による,誤嚥は「傷害」ではないとしたのだ。

 保険会社は「傷害」というのは急激かつ偶然な外来の事故によって被った身体の傷害」ということで本件は当たらないとした。つまり,自分で招いた事故なのだから偶然的事故ではない,アルコール中毒という身体内部の事情から来る事故だから外部性もないという。

 判決は「吐瀉物を誤嚥したこと」は外来的事故であると判断した(東京高裁H26.4.10,判時2237号109頁)。一審は外部からアルコールを摂取し,泥酔し,急性アルコール中毒になり,誤嚥し,窒息死したという一連の行為をもって外部的事故だとしていたが,控訴審は単純に「吐瀉物を誤嚥したこと」だけで十分だとした。

 なお,最高裁が平成25年4月16日に薬物によって反射が鈍っていた者が誤嚥した事故について「外来の事故」としていることをこの控訴審は受けている。

 また,この事故では労災対象となるかどうかも争われていたらしいが,業務起因性が認められ労災も認められている。