2017.06.26 月曜日

豊橋発:高技術中小企業はいかに生まれたか

 「グローバルニッチトップ企業論」(白桃社)を読み始めだんだん終盤に近づいてきた。この本はすぐれている思う。

 この本の問題意識は高技術中小企業がどのようにして誕生してきたか,どのような企業戦略を持っているかという点の分析だ。この分析を通じて日本の「ものづくり」のさらなる発展の方向を模索しようというものだ。

 独立性の高い中小企業を中核にクラスターを形成すること,産学協同,大企業との協同を推進することが我が国経済の発展につながると述べている。この発展とはとりもなおさず「イノベーション」がどのように生まれてきたかということの考察に他ならない。この考察は明確で思わずアンダーラインを引きたくなってしまう。

 筆者はNT企業(高技術で高いニッチをもった中小企業)を次の様に分析する。
 

 ・・・一般的に考えると,技術力に秀でたものづくり企業の多くは,江戸期以降に発達した地域に根ざした産業(地場産業)やその集積(産地),あるいはその後各時代に発展した産業(自動車,エレクトロニクス等)から派生あるいはスピンアウトする形で生成してきたということができる。こうした中から,規模は小さいがすぐれたパフォーマンスを示す2つの企業群が形成されてきた。

 
 
  これは全くその通りだ。愛知県で自動車産業を中心にしたものづくりが発展したのももとをただせば木曽の材木の集積場として熱田や尾張があった。そこに木材加工技術が発達した。明治維新のころ,こうした技術者が新しい機械技術を取り入れていったという歴史がある。豊田佐吉がトヨタを興したのもこうした地域的背景がある。
 
 

 1つは,サプライチェーンに組み込まれた企業群で有り,自動車産業に典型的にみられる高度な分業構造を支えている。もう1つが,本書の対象である独立性の高いNT(高技術優良企業:私の定義)型企業ということができる。

 
 
 私は愛知県人なので,自動車産業系の中小企業発展のパターンは理解しているつもりだ。後者の視点はあまりなかった。しかし,日本の高技術中小企業が大企業からスピンアウトした技術者や,大学教授とのつきあいの過程で技術を磨いてきた企業家が,多くの信頼を得て,ユーザーとともに発展してきた歴史は言われてみればその通りであり,目から鱗が落ちるような思いだ。