2017.07.10 月曜日

豊橋発:中小企業は技で勝負だ

 「グローバルニッチトップ企業論」(白桃社)を読み終えた。筆者はすぐれた中小企業を自動車産業のようにサプライチェーンに組み込まれる形で発達した企業群,もう一つは規模が小さいがすぐれたパフォーマンスで独立性高く発達した企業群に分けている。本書は後者の,独立性の高い企業群についての研究だ。こうした企業群はニッチトップ企業と呼ばれている。

 ニッチトップ企業はすぐれた技術によって大企業から開発についての相談を受けるなど頼りにされ,大学など研究機関からも一目置かれる存在だという。すぐれた技術を売りに事業を展開するため,規模の大きさは必ずしも追求されない。もちろん,大企業に発展していった企業もある。本書は堀場製作所がそれだと例をあげる。

 筆者はニッチトップ企業の国内での役割を非常に重視している。
 こうした企業はすぐれた企業グループを形成し,企業連携によってイノベーションを生み出している。「自社の保有するコア技術の活用といった製品開発に係るスタンドアローンな能力とは別に,自社に足りないニーズとシーズを外部の異なるプレーヤーから調達して有機的に結びつける機能を担う能力」,つまり「イノベーション・コーディネート機能」を揃えている点が重要なのだという。日本経済がこうした中核的企業を中心に企業群として地域が生き残っていくことを期待している。

 もう一つ,ニッチトップ企業に期待されている機能は世界市場への進出だ。高い技術によって海外市場に進出し利益を上げている。日本経済が停滞する中,企業の海外市場進出は不可避の課題となるが,ニッチトップ企業が技術力を武器に海外市場でシェアを獲得することで日本国内企業への利益の還元が働いていくと考えていると思う。

 高い技術力は必ずしも単独で生まれない。地域の支えがあってこそだ。ニッチトップ企業は地域の企業をコーディネートして地域とつながっていく。一方で高い技術が武器となってグローバル市場に参入を果たすことになる。

 筆者はこうしたニッチトップ企業群が発展することで日本の経済が活性化していくと考え,こうした企業を育成できる諸要素を提案している。こうした考えは実に面白いし,私も前々からぼんやりではあるがこんなことを考えていた。それが明快に語られており実におもしろい本だ。