2017.09.18 月曜日

豊橋発:最低購入額の定めの有効性

継続的取引契約では最低購入額を定めることがあります。たとえば,次の契約条項はどんな意味があるだろうか。

 
「乙は,最低購入額を上回る購入を行うことにより,甲から技術情報の提供を受けることができる。」

 この条項は一種のライセンスを相手に供与する代わりに,相手に年間1000万円とかいった数量を購入する義務を課す内容となっている。

「甲は,乙に対し,本契約締結の日から1年間を初年度として,○○の買取数量を以下の通り保証する。」 

 この条項はたとえば,一定額投資してプラントなどを導入するので,その代わりに一定期間必ず一定量発注するという合意をするというような場合だ。

 こうした,最低購入額を定める条項は法律上一定の効力を持つ。しかし,どんな効力を持つかを定めておかないとせっかくの条項も絵に描いた餅になる。一般的には最低購入量,最低発注量を下回る場合には契約を解除できるとような条項が存在する。

 問題となるは,一定量購入しなかった場合,一定量発注しなかった場合,損害賠償請求はできるだろうか。つまり,購入量,発注量が実現されていれば得られたであろう利益というのは賠償の対象になるだろうか。

 こうした,逸失利益については契約書の中にきちんと賠償額算出の定めをしておかないと,認められない可能性がある。

 東京地裁H25.12.4判決(判時2245号52頁)は,契約書の中に,賠償額の定めがないことから認めなかった。

「本件ライセンス契約,本件基本契約のいずれにおいても,本件商品について個別契約の締結が予定されていたから,上記各契約に基づき,原告が被告に対し,最低購入額相当分の売買痔金しむを負うことにはならないというべきであるし,上記各契約には,原告が上記賠償義務を負うと明示的に規定した文言はない。」