名古屋E&J法律事務所ブログ

2017.09.11 月曜日

部品欠陥問題は最初が肝心

 電磁弁の欠陥によって低温ブライン(冷却媒)循環装置に冷却媒漏れが生じたとして、メーカーが部品メーカーに対して5000万円ほど請求した事件があった。この事件では電磁弁という部品に欠陥があったといえるかどうか、当事者間に製造物責任や品質保証責任が生じるかが問題となった。


 今回の循環装置はEU指令に基づいて改良を加えた新製品であった。
 部品メーカーが生産していた電磁弁はすでに新製品しか製造していないため、部品メーカーとしては新製品を提案し、従来の商品と同じ品質であると伝えていた。

 機械メーカーにしてみると、従来と同じ品質であるということを前提に、購入したのに従来品と同じ耐久性を備えていないため、電磁弁に亀裂が生じて機械全体に欠陥が生じたということになる。

 部品が一定の品質を備えない場合には、原告は一般的には債務不履行責任を負う。特に品質が保証されているような場合には当該品質保証契約による損害賠償請求を負担することになる。品質の欠落が欠陥ということであれば製造物責任も問題となる。

 この事案では部品側が提供した電磁弁の有する一般的な耐久性を備えていたと判断した。その上で、メーカー側の運転が「高頻度の連続作動」を行った結果、電磁弁に亀裂が生じた可能性が高いとしてメーカー側の責任を否定した(東京地裁H27.1.16判事2258号)。

 メーカー側にしてみると事前にどのような装置になるか説明したことや、従来品と同じ耐久性を持つと説明されていたことから、少なくとも従来品と同等の耐久性を持つべきだったということになる。
 
 しかし、この事例ではあくまで従来の電磁弁の後継機である新電磁弁の性能が問題となる。性能の基準もメーカー側の循環装置の利用方法ではなく、部品メーカーが表示している新電磁弁の性能を基準に判断されることになる。

 この事件の教訓は、機械メーカー側からすれば、購入時に本件機械の使用法に耐えるだけの性能を持っているかどうか契約で保証させる必要があった。


 部品メーカーからすれば、新電磁弁の一般的な強度の範囲でしか、品質は保証しないという対応が正しい対応ということになるだろう。

 いずれにしろ、購入時において、製品の性能の範囲(仕様)について明確な合意がなかったばかりに紛争になったということになる。