2017.10.02 月曜日

豊橋発:「会社を売ってしまいたい」,よく弁護士と相談しよう

 中小企業の間では後継者不足がいよいよ深刻化しているようだ。ここ数年そういう相談が増えているように思う。


 若い頃に起業して,ある程度の成功を収めている。気づいてはいたが中々後継者が育たないまま今日まで来てしまった。今,会社を売れば4億円ぐらいになるかもしれない。こうような事例が増えている

 中小企業でのM&Aを専門とする会社があるほか,銀行などが仲介してM&Aに踏み切ることが多い。M&Aは会社の活動領域を拡大を目的とする例もあるが,大手企業やファンドが投機的な意味で購入することも多い。

 会社を売却する場合,LBO(Leveraged Buyoutレバレッジド・バイアウト)という手法が多くつかわれる。これは買取会社を中間に挟んで売却する手法だ。

 ① 別会社を設立して,買主が代金の半分ぐらいたとえば1億5000万円ほど投資する。
 ② 別会社は銀行などから1億5000万円ほど借り入れる。
 ③ 売主は3億円で別会社に株式を売却する。
 ④ 売主は退職金として1億円を別途入手し,合計4億円を取得する。
 ⑤ 別会社と対象会社が合併し,対象会社は銀行に1億5000万円を返済する。 

 売主は合計4億円手にして売却する。
 買主は1億5000万円の支出で購入する。

 不思議なからくりだ。売主にしてみれば4億円で会社を売ったという印象を持つ。買主は1億5000万円で4億円の会社を購入したということになる。

 この仕組みの落とし穴は,3億円は結局会社が支払っている点だ。
 買主は1億5000万円しか払っていないのだから,会社の価値は1億5000万円とみたという以上の意味は無い。
 
 ファンドや大手会社が投機目的で購入した場合,どこかで転売をはかる。このときの転売価格は少なくとも,売主が手に入れた4億円以上の価格で売却する。なぜなら,何年かすれば,少なくともM&Aにあたって借り入れた1億5000万円が返済されるころには会社はもとにの状態に戻っているからだ。

 たしかに,M&Aに当たって,退職金及び借金という形で2億5000円(退職金及び新債務)の財産が会社から流出し,その分会社はやせてしまう。

 しかし,すぐれた会社というのは常に余裕をもって運営されている。つまり,会社には常に多くの「含み益」が存在する。一時的にやせても,もとに戻るだけの体力を持っている。ファンドはこの「含み益」を狙って,売り買いし,高額な利益をあげていることになる。