2017.10.09 月曜日

豊橋発:M&Aと旧社員との関係

 中小企業のM&Aでは旧社員の処遇がきわめて重要だ。中小企業の価値は人によって決まる。会社の移転とは人の結合やあり方の移転と言ってもいいくらいだ。


 人というのは不思議なもので,会社への帰属意識は会社そのものの「正統性」によって生まれる面がある。正統であるとは「創業者」からの正統な承継というような意味だろうか。会社の売買というようにある意味金銭的に割り切ることのできない面がある。

 たとえば,M&Aによって新しい社長が派遣されるような場合,新しい社長に実績があって,社員との融和に対して能力を発揮すればよいが簡単ではない。新社長になって有能な営業担当者が抜けていく,旧社長の子飼いの取締役も辞めていくということはよくある。

 新社長が余りにも性急に変化を求めて失敗する例も少なくない。新社長に求められるのは次の点ではないだろうか。
 ① 会社のアイデンティを正確に理解してそれを守り発展することの宣言
 ② 新体制になって何を新しくするかについての明確なポリシー。新体制になって会社はさらに発展していくという期待を社員にもってもらう。
 ③ ②についての旧社長の支持
 ④ 一定の長期にわたる会社改革プラン。特に中小企業の場合,優良企業で会っても会計原則が曖昧になっていたり,旧社長の秘密主義から何か特別な処理の仕組みになっていたりする。
 ⑤ 新社長の公平,精錬,潔白さ。ただでさえ,不安の中にある社員にとっては,新社長のこの姿勢は何よりも大切だ。

 こうした,経営の引き継ぎプロセスについて旧経営者は責任を持っている。旧経営者としては,この際に旧弊は一掃するという発想が必要のように思う。その上で新社長に対する信頼を作り上げていく努力をしていかないと残された社員を大切にしたことにならない。