2017.10.16 月曜日

豊橋発:コスト・ビヘイビア(cost behavior)

 マイケル・ポーターの「競争優位の戦略」(ダイヤモンド社)を読み始め,第三章「コスト優位の作り方」(cost advantage)まで来ている。

 大企業は大規模化によるコスト低減をはかって競争上の優位を作っている。コスト低減は中小企業にとって重要な課題だ。また,大企業をお客さんに持つ中小企業にとって,親会社のコスト・リーダーシップ戦略を正確に理解していくことは,それこそ他社との差別化につながる重要課題となる。

 ポーターのコスト優位,コスト・アドバンテージを理解する上では2つのことの持つ意味を理解することが必要のように思われる。

 ① バリュー・チェーン(価値の鎖)
   会社の活動は社内での連携,流通による連携など様々な「関係」があるが,その連携をとらえてトータルなコストを考えるというのがポーターの発想だ。

 ② コスト・ビヘイビア
   これはわかりにくい概念だ。ビヘイビア(behavior)とは「振る舞い」と訳される。ポーターはコストの増減をもたらす要因をコスト推進要因(cost drivers)と呼んでいる。企業活動には必ずコストがつきものだが,そのコストの高低を左右する要因をコスト推進要因と呼んでいる。製造ラインの合理化はコストを低くしていく,だからラインの革新はコスト推進要因となる。こうした,コスト推進要因の組み合わせ,構造を「コストの振る舞い」,コスト・ビヘイビアと呼んでいる。

 コスト・ビヘイビアの意味はかなり難解で,特定のバリュー・チェーンでの原価の変動要因などというとわかりやすくなるのだろうか。

 たとえば,良質な材料を仕入れれば,仕入れコストは高くなるが,不良品は少なくなるし,検査のコストは抑えられる。このように材料仕入れから製造,出荷までの一連のチェーン(関係)をトータルに考慮して最適なコストを追及する。関係全体,つまりチェーンの中でのコスト変動要因を検討して最適化を図っていく。

 私に言わせれば,これは「改善」の発想以外のなにものでもない。企業活動の諸関係を考え,ひとつひとつ「改善」をはかっていくようなところがある。重要なのはこの「諸関係」を選び出すところが,ある種の才能のと訓練が必要となる。

 なお,ポーターのこのアイディアは,さらにこれを定量化することに意味がある。これを何らかの基準を設けて,トータルコストの低減に結びつく戦略を作り上げようというのだ。