2017.11.20 月曜日

豊橋発:商品の差別化,「会社」の差別化

 ポーターは「競争優位の戦略」(ダイヤモンド社)の中で差別化を狭く考えてはいけないと戒めている。製品そのものやマーケッティングのやり方だけの問題ではないという。

 会社は仕入れから製造,販売,マーケッティング,内部組織管理など様々な活動の総体だ。一つ一つの行動が顧客への販売,利益の獲得という価値の創造に向かっている。価値の創造に向かってつながっている行動のつながりはバリュー・チェーンと呼ばれているが,この一つ一つに差別化の鍵があるという。

 優れた人材,安定した労働力,最高品質原材料,タイムリーな急配,サービス範囲の広さ,こうした全ての価値を生み出す行動が差別化を生み出す鍵となる。この時に注意しなければならないのは,一つ一つが独立して価値の差別化に向かう訳ではない点である。顧客が製品を買い取っていくという目標に向けらた諸活動の「関係」をきちんと分析することが大切だ。

 「検品という活動はコストの1%くらいにしか過ぎないけれども,薬品配送に1個の不良梱包が混じっていたとしたら,薬品メーカーにとってすごいマイナス要因となるだろう」と言っている。薬品は薬品という製品に価値があること,高い安定性という価値があることで差別化されるが,それに向けた価値行動の連鎖を鍛え上げていくことになる。その1つが「検品」という訳である。

 こうした顧客の創造という「価値」の実現に向けて社内の各種行動が差別化に向けられていくことこそが「差別化」の真の意味ということになる。

 顧客にとって「価値」とは何かという判断は高いレベルの経営判断となる。顧客がどこで価値を見いだそうとしているのかは,一定の事実に基づく判断だが最後には「ポリシーの選択」という問題にいきつく。

 たとえば,パタゴニアは「最高の製品を作り,環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える」という理念をかかげた。最高の製品とは第一線級の登山家が選択するような製品だし,地球環境を絶えず念頭に置いて製品を作り,事業活動を行い,広告宣伝も行った。それがパタゴニアの製品という差別化だ。

 このように差別化は総合的であるため,差別化というのは商品の差別化というより,会社そのものの差別化と言っていいようにも思う。

 A firm differentiates itself from its competitor when it provides something yunique that valuabule to buyers beyond simply offering low price.

 会社の差別かそのものは,競争相手に比して,顧客にとって何か特別なものを提供する時に生まれる。それは,単に安いものを売るというレベルを超えた問題である。