2018.01.29 月曜日

豊橋発:マタハラ(マタニティハラスメント)最高裁判決の評価

原告は理学療法士だったが妊娠を契機に軽作業に転換され,同時に副主任の地位を解かれた。産休,育休後職場復帰を果たしたが副主任に戻ることは無かった。最高裁はこの副主任の地位にもどれなかったことが,妊娠出産による差別,いわゆるマタハラ(マタニティハラスメント)に当たるとされたのである(H26.10.23判時101頁)。



 最高裁は妊娠を契機に副主任を降格させたことが違法であるとした。
 しかし,最高裁は降格が常に違法であるとは言っていない。本人の同意,あるいは企業にとって止む得ない事情がある場合には許されることあるという。

 最高裁の論理は次の様になる。
                         
(1) 一般論として妊娠を契機に降格させれば男女雇用機会均等法などに反し,違法である。

(2)
①「当該労働者につき自由な意思に基づいて降格を承諾したものと認めるに足りる合理的な理由客観的に存在するとき」  

  又は

②「業務上の必要性から支障がある場合であって」,法の「趣旨及び目的に実質的に反しないものと認められる特段の事情が存在する時」
  は降格も許容される。

(3) 本件は「自由な意思」基づかない,降格であるから違法である。
  しかし,「業務上の必要」は不明であるから差し戻す。

【関連法律】
基準法65条3項
「労働使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。」これは,請求があった場合には軽易な業務に転換しなければならないが,積極的に軽易な作業を創設して業務させる義務まであるわけではないとされている(昭61・3・20基発151号婦発69号)

男女雇用均等法9条3項
女性労働者の妊娠,出産,産前産後の休業その他の妊娠又は出産に関する事由などで解雇そのたの不利益な取扱を禁止している。