2018.02.12 月曜日

豊橋発:上勝町の魅力

 先日,徳島県上勝町に訪問した。上勝町は「葉っぱビジネス」で全国的に有名になった町だ。徳島市から40km,人口1717人,四国で最も人口の少ない町だ。ほっとけば限界集落になってしまうような地域だ。


 この地域にはみかんで地域経済を振興させようとしていたところ,昭和56年にマイナス13度いう異常寒波にみまわれみかんの木が全滅してしまったという。そんな中,地域再生のために様々な工夫がされたのであるが,その1つが料理の「つま物」を商品化する事業だった。


 株式会社いろどりの現社長,当時農協職員が,この事業を始めた。事業は中々うまくいかず,それでも繰り返し,繰り返し努力を続けた結果,今日の成功を切り開いてきた。昭和61年には4件でスタートした葉っぱのビジネスは現在の売上高は2億6000万円だそうだ。


 各農家は売上の7割を利益として得ている。一般の農業では考えられない利益率だ。しかも,葉っぱなので集団で作業する必要は必ずしもない。高齢者が一人でも取り組める。「つま物」市場の8割のシェアを誇り,最近ではフランスなど海外の日本料理店にも出荷しているそうだ。


 この奇跡のような成功物語には背景に血のにじむような努力と,徐々に人々が支持が増えていくという感動の過程が存在する。高齢者が生き生きと仕事に取り組み,農協からの注文をパソコンで受けとっている。生きがいが健康を生み出しているし,元気な地域に惹かれて若い人が移住したり,新しい事業に取り組もうとしている。よい循環を絵で見るような所だった。


 こうした上勝町の物語は本や映画にもなっているし,横石さんの話を聞いたことがあるひとも多いだろう。研究者の分析もたくさんある。


 そんな中,私が最も注目したいのは地域の一体感だ。私が察するに上勝町の主力産業は農業や林業で,葉っぱのしめる割合が必ずしも高いという訳では無さそうだ。しかし,葉っぱビジネスは依然この地域にとって不可欠な役割を果たしている。


 4件の農家から始まったこのビジネスが,地域のためを思う人たちの強い意志と努力によって支持者を増やしていった過程が存在する。葉っぱ農家は自分たちで何が必要かを考えようとしてきたし,そのように発展してきた。相互の情報交換手段も次々の開発されているし,この葉っぱビジネスを護るために品質も大事にするようになっている。


 株式会社いろどりの役目は農家の不平等感をなくす一方で前向きな競争を引き出し,かつ相互に一体感を持って行くというマネジメントセンターとして重要な役割を果たしている。こうした地域に始まり地域に終わる葉っぱビジネスの運動は,ゼロ・ウェイスト宣言(ゴミ排出量ゼロ)を目指す運動や,インターンシップ事業など多彩な事業ににも広がっている。


 地域全体がマネジメントされるというのは,何か特別な事業によるものではなく,地域の一人一人が前向きになるような特別な工夫によって成し遂げられる。もちろん経済がなければ前向きな意識には持続力は無い。先端技術を取り入れるという意識も必要だろう。一体感などと言う精神論ではだめで,それこそ科学性を持つマネジメントというも必要だろう。新しい価値観や知識を得る姿勢も必要のように思う。こうしたことがあって,地域はマネジメントされ一人一人が生き生きと生活する結果につながる。


 こうした,株式会社いろどりが持っている文化,精神論にとどまらない科学性や現代的な意識,一人一人を大切にしようという価値観,これが地域全体に影響を与え,葉っぱビジネスはそのビジネスの成功にとどまらない大きな価値を上勝町にもたらしているように思う。


 株式会社いろどり → http://www.irodori.co.jp/