2018.03.05 月曜日

豊橋発:M&A,残された社員の強み

中小企業のM&Aの場合,企業価値の最後の鍵は社員が握っている。


 一般にM&Aにおいて企業価値は純資産と利益を目安に計算されていく。企業価値を計算するいくつかの手法がある。通常はこれらの手法を組み合わせるが,実際のM&Aでは純資産+利益3年から5年分などと企業価値を決め,あとから専門的な計算によって裏付けるというような決め方をしているように思ってしまう。

 ともかく,ファンドや大企業の投資部門が取り扱うM&Aはいくらきれい事を言っても所詮はマネーゲームではないかと思っている。買い取り価格の3倍,時には10倍と言った利益を短期に得ていく。

 マネーゲームで漂流するのは社員達だ。中小企業の場合,社長を信じてついてくる社員は少なくない。それが,投資目的のオーナーに変わってしまったのではどうやって会社を愛して良いのか分からなくなる。社員の漂流感をぬぐい去ることは難しい。

 実はこの点に投資型M&Aの最大のアキレス腱が存在する。
 中小企業は人でできあがっている。いくら業績がよくても,適切なリーダーシップあっての業績だ。オーナーが会社を売って,その後に会社を引き継いだ幹部達がそっぽを向いたのでは会社はたちどころに傾いていく。

 ファンドが会社を転売しようにも,企業の幹部達がそろってこんな会社に売られるなら会社をやめるなどと言いはじめたら,会社は売れない。ファンド側が最も畏れるのは実にこの点にある。

 だからどうだという訳では無いが,もしあなたが雇われ社長だとしたら,あなたがEBOなどを利用して会社を買い戻す時に使う優良な交渉材料になることは間違いない。もし,あなたが会社を売る立場なら,社員にこの点をしっかり告げて,社員が不安材料を少しでも取り除いておくことがよいかと思う。

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