2018.03.19 月曜日

豊橋発:差別化と創造の秘密

私はニュービジネス研究会に所属しており,先日会合があった。その中で企業は差別化に集中するあまりイノベーションを起こし得ないでいるという議論があった。


 今ある好調な事業を手放して新しい分野に踏み込むことはできない。企業規模が大きくなればなるほど企業はリスクを冒すことはできない。むしろ,今ある事業の改良,改善を進め競合他社との関係で優位に立つことを選ぶ。イノベーションと言われる領域も,この差別化に必要な範囲で進められる。

 差別化の蓄積,進展はあるとき質的な変化を遂げて全く別のものに変化するかもしれない。ハイブリッド車がやがて電気自動車に変化し,ガソリンを利用しない全く別の業態に変化するのかも知れない。

 しかし,差別化の進展は歴史の流れに取り残されるかも知れない。液晶を発達させたばかりにガラパゴス化して売れなくなってしまった教訓を忘れてはならない。
 もっとも,中小企業ではそれでもいいかもしれない。むしろガラパゴス化して他社参入を阻止し,企業の持続性を確保できるかも知れない。レコード針はほとんど滅んでしまったが,それでもどうしても必要な人たちがいる。この人たちのための事業は安定して継続していくだろう。

 しかし,企業はどこかで新しいもの,扱っていなかった分野に食い込む努力は必要なことだ。それが,伝統的な商品であっても変わりない。「創造」に目を向けていなければ企業の持続や発展はない。その創造の秘密はどこにあるのだろうか。

 市場が創造されたとは,それまでに無かった顧客群が組織されたということだ。音楽はレコードからCDに変化し,さらに情報が媒体から離脱して情報そのものとして売られている。顧客がインターネット社会に食い込み,音楽について新しい顧客層が形成されている。そこに食い込んで顧客を組織する事業がイノベーションがあった言える。

 そうなると,「創造」は顧客の実生活上の変化の中にあるように思う。自分たちの顧客群,自分たちの業界(業界の中で細分化された自分の地位)を見つめ,組織されている顧客群の意識と自らを同期化させる作業が必要だろう。

 自分も顧客のコミュニティに所属し,その変化,「何かたりないな」「近頃,はやっている」といった軽い問題意識を具体化させていく作業が必要となる。それは差別化の課題でもあるが,同時に創造の課題でもある。

 もし,あなたが別の分野,たとえば医療,福祉という全く別の分野に食い込もうというのであれば,その別の分野のコミュニティに飛び込む必要がある。そのコミュティが求めているもの,「あったらいいな」「近ごろ,ちょっと・・」という気づきを具体化し,商品化する作業が必要だ。