2018.05.07 月曜日

豊橋発:納入部品に欠陥があったら!

ある部品メーカーが製造した部品がJIS規格を満たさなかったという事例があった。

何万という部品全てに欠陥があったということや,自動車などに使われていたためかなりこの案件は会社の存立に関わるかなり深刻な事態となった。詳しくは言えないが,この案件は多くの調査結果から欠陥はあるけれども実害は少ないということで検査費用ぐらいの賠償ですんだ。

 このように部品の欠陥というのは軽視できない。8月号「ビジネス法務」でもこのような問題を取り上げた記事があった。この事例は自動車の部品(ポンプ)のそのまた部品(軸受け)に欠陥があった場合の責任の所在について論じている。

 自動車メーカーは専門性が高いため,部品のどこに,どのような欠陥があったかについてかなり調査する。私の経験でも実験がいくつか繰り返された精密な報告書ができあがっていた。これを覆すのはかなりの費用と専門性が必要となるため,一般論からいうとこの報告書をもとに責任を論じざる得ないところがある。

 自動車部品の損害の場合,リコールなどと言う問題になれば半端な損害では済まない。何台かということであれば,検査費用や部品の交換費用,クレーム処理に要した費用で済んでしまう。部品に欠陥がある以上,部品メーカーは原則として責任を負う。この時,注意義務がなければ責任は免れるが,欠陥があるような商品の場合には通常は注意義務が推定されてしまう。

 しかし,部品の設計が自動車メーカーの指示に従っているような場合や,受領の時の検品に合格しているような場合にはすぐに責任を負うとは限らない。この辺りの責任の所在は自動車メーカーと部品メーカーが「仕様」,「欠陥」や「検査」についてどのような契約を締結しているかによって異なる。損害が大きい場合はこういった点を詳細に検討して防御策をとることになる。

 さらに,この事例では部品メーカーのそのまた部品に欠陥があった場合にどこまで責任を負うかが問題となる。ビジネス法務の事例では「軸受け」の欠陥ということになるが,自動車メーカーとポンプメーカーとの契約上求められた「品質」と,ポンプメーカーと軸受けメーカーとの間で求められた「品質」は異なるかもしれない。これも双方の基本契約の解釈によって責任の所在が異なることになる。

 こうした部品についてのクレームは,民法,商法,さらには契約解釈という非常に難しい問題をはらんでいて,弁護士など専門家の援助無くして方針を決めることはできないだろう。