2018.09.10 月曜日

豊橋発:不動産と暴力団

不動産の売買や、開発に暴力団が絡むことが少なくない。売買にしろ、開発手続きにしろ、不動産に関連する契約では委任状が多用されるため、委任状が乱用されてしまうからだ。


 また、不動産案件では抵当権の実行や強制執行など、「競売」手続きがよくからむ。「競売」で困るのは「競売」によっていったんすべての権利がなくなり、新所有者が問題のない不動産を取得できる点だ。

 つまり、「競売」といった裁判所を通じた手続きを利用することで、暴力団の悪事が遮断されてしまう。暴力団関係者にはこうした競売手続きに精通していてこれを利用しようとする者が多い。

 競売手続きに精通した「シロウト」はいない。「競売」の裏技をいろいろよく知っている人間は要注意だ。

 たとえば、平成18年の開発予定地ののっとり事件は競売を利用した典型だといえる。

 これは墓地だった土地一帯をマンション開発することをA建設会社が依頼された事件だ。 A建設会社は資金捻出のためにB建設会社に融資を依頼したところ、そのB社社員が委任状を偽造して、債務をねつ造し不動産に多額の抵当権を設定した。A社は資金繰りに窮し、抵当権は競売に付された。そして、土地を落札したのはB経営者の親族が経営する会社だった。このねつ造には暴力団が関係していた。

 Aとしては、偽造された委任状で設定された抵当権は無効なので土地を取り戻そうとした。しかし、東京地裁、及び東京高裁はいずれも抵当権設定契約は無効だとしたものの、所有権の移転は退けた。つまり、落札した子会社はBの経営者の親族であるという以上の関係はなく、一連の詐欺事件に関与しているとはいえないとしたのである(高裁H25.5.22判決、判タ1414号164頁)。

 このように、「競売」がからむことによって、いったんすべてはリセットされてしまう。