2018.11.05 月曜日

豊橋発:仕様書の取り決め

部品の製造して継続的に販売する契約を製作物供給契約と呼んでいる。製造業の場合、大量取引するので発注ごとに契約書を作っていたのではめんどうだ。そこで、多くが基本契約、たとえば「製作物供給契約」というような名前で基本的な契約書を作成する。あとは発注書、受領書などのやりとりだけで売買契約が成立する仕組みだ。


 ところで、特定の部品などの製造販売の注文を受けた場合、どのような部品を作るかは非常に重要だ。売買契約というのは「物」の所有権を移す契約なのだが、肝心の「物」の内容がはっきりしないとトラブルになる。たとえば、部品が性能を備えずできあがった商品が傷物になってしまったような場合、私たちは不完全履行と呼び、責任問題を検討する。

   当然、どんな「物」が注文されていたか、契約上どのようになっているか検討することになる。
 この注文を受けた商品がどのように特定するかについては通常次のような条項で表現されている。

 「乙は、甲が作成・交付する仕様書に基づいて本製品を製造する。」

 この仕様書はあらかじめ当事者双方の技術者と協議して決めることになる。しかし、仕様書だけでは決まらないこともある。事故とは常に想定外のところで起こるので、ちゃんと決めたつもりでも抜け落ちが出てくる。

  上記の条文と対応するのが次のような品質保証条項だ。条文上は「仕様書」+「通常有するべき品質」を保証することになる。
  
  「乙は、甲が仕様書に定めた仕様及び通常有するべき品質、性能を備えていることを保証する。」

  この場合、企業法務の役割としては「通常有するべき」の意味をさらに掘り下げる必要があるかもしれない。たとえば、契約書のどこかに「目的物の性能が発揮されるために通常有するべき性能」いった条文などはいいかもしれない。

 また、仕様書を決める技術者にかならず合意に至るまでのノートやメールなどの記録をきちんと保管させる必要がある。あるいは、特定の技術を目的として仕様書を作るのであれば、その目的も明確にしておく必要がある。こうした証拠資料を日頃から作っておく習慣を喚起するのも企業法務の役割となる。