2018.11.19 月曜日

豊橋発:カプセルトイ(がちゃ)製造物責任事件

カプセル入りのおもちゃ(がちゃ)のカプセルで遊んでいた2歳の幼児がこれを飲み込んで窒息し、重度の脳障害に至った事件があった。

 遺族が損害賠償性請求を提起し、裁判所は製造業者の責任を認めた(鹿児島地裁H20.5.20判時2015号116頁)。

 製造物責任は「物」の欠陥によって生じた損害について賠償するもので、欠陥→因果関係→損害の流れで判断される。事業者が注意をしようがしようまいが、欠陥によって損害が発生すれば責任は追及される。

 たとえば、大量生産する場合に一定の割合で不良品は発生する。どんなに注意しても必ず不良品は出る。この不良品が原因で大事故が発生した場合でも製造者は製造物責任を負うというしくみになっている。

 ところで、「欠陥」というのは物自体の不具合ばかりを言うのでは無い。社会通念、特に被害にあったユーザーの一般的な水準からみて危険であれば「欠陥」ということになってしまう。この場合でも、プラスチックカプセル自体は別にカプセルとしては完成品で商品として何か不良品を作ったという訳では無い。

 しかし、窒息する危険を招く商品という意味では危険な存在であるため、「欠陥」があるとされてしまった。では安全性はどこまで追求するべきだったか。判例はかなり厳しい。鹿児島地裁は次のように判示している。

「本件カプセルの設計は、乳幼児の口腔内に入ってしまった場合の口腔からの除去や気道確保が非常に困難となる危険な形状であったというべきで、本件カプセルのように幼児が手にする物は、口腔から取り出しやすくするために、角形ないし多角形とし、表面が滑らかでなく、緊急の場合に指や医療器具に掛かりやすい粗い表面とする、また気道確保のために十分な径を有する通気口を複数開けておく等の設計が必要であったというべきである。」

 現代社会では大量に商品を売ることで利益を得る仕組みができあがっている。きわめて安価なカプセルとは言っても事故が大量であれば大きな損害になる。まして,死亡事故など重大事故が重なれば企業生命が失われるほどの危機にたつ。企業の信用だってがた落ちだ。製造物責任は事業者にとって無視できない大きな問題だ。

 もし、あなたが企業家で新商品を開発した場合、製造物責任の見地からその商品の安全制をレビューする必要がある。顧問弁護士がいたとすれば、製造物責任の見地からどのような視点で商品を検討べきかを協議することも大切なことだろう。

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