2019.02.25 月曜日

豊橋発:倒産企業からの商品の引き上げ

 企業の倒産情報が入ったらもうお金は回収できないと思わなければならない。

 この場合、せめて未払いの商品ぐらいは引き上げたいというのが人情だ。


 また、ブルドーザー、クレーン、工作機械はひきあげないとまずいと思うかもしれない。割賦販売した商品を引き上げたいと思うかもしれない。


 こうした引き上げ行為は原則として許されない。所有権がいったん移ってしまえば、もう取り戻しはいかない。しかし、方法はある。


 こうした事態を防ぐためには契約上特別な工夫が必要だ。


 つまり、次の点をはっきりしておかなければならない。

  ① 代金を完済するまでは所有権は移らないこと。

  ② 倒産企業には単に預けているに過ぎないこと(法律上はこれを間接占有といいます)。

  ③ できたら、その内容を表示するシールなどはっておくこと


  これは民法上は所有権留保と言って、代金が支払われるまで所有権は移らないという内容の契約を締結する方法だ。


  たとえば、ブルドーザーは高価なので割賦販売であることが多い。契約書は売買代金完済まで所有権は移らないこと、完済した時点で「譲渡証明書」を交付することなどが慣行化している。また、ブルドーザーには売主がまだ預けているに過ぎないことを示す意味で売り主の会社を示すシールが貼ってあることがある。


  このような事例で、破産直前にブルドーザーを引き上げた企業の方が勝った事例がある(東京地裁H27.3.4判時61頁)。ブルドーザーの引き上げは所有権留保という担保の実行の途中段階にあたるし、それが売却された場合には担保権の実行として認められるという内容だ。


  在庫なども担保にとって置くことができる。あぶなそうな企業と取引をする場合、倉庫の原材料、商品といった在庫を集合体全部を担保にとることができる。これは集合物に対する担保と言って、この種の契約は必ず弁護士と相談して作り上げる必要がある。ちゃんとしとかないと、契約上「所有権留保」と言っても意味の無い契約書になってしまっている場合がある。


 なお、在庫などは特定が非常に難しいので、「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」による動産登記を利用する方法もあるだろう。

 

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